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経済同友 2026年8・9月合併号 No.891(1ページ目)
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経済同友 2026年8・9月合併号 No.891

8-9
2026 August- September
No.891
特集1
2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー共助成長社会の実現に向けた選択肢
~対立軸を直視し、本質的な解決の道を議論する~
特集2
共助資本主義第 6 回マルチセクター・ダイアローグ
共助成長社会で取り組むこれから【前編】
CLOSE-UP 提言
人材活性化委員会経済成長と多様な個人の活躍を支える「雇用型自律労働契約」の導入を
~労働法制の令和モデルへの見直し~【改訂版】
「私の一文字~副代表幹事/経済同友インスティチュート委員長松江英夫~」より

私の一文字 松江英夫(2ページ目)
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私の一文字 松江英夫

私の一文字
副代表幹事経済同友インスティチュート委員長松江英夫
デロイトトーマツグループエグゼクティブメンバー
「青雲の志」という言葉に宿る「志」
会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。今月は、松江英夫副代表幹事にご登場いただきました。岡西「志」の文字は、上部が「一歩前に踏み出す」を、下部が「感情が宿る場所としての心」を表し、心が目的に向かって進む様子を示しています。今回は未来に向けた勢いと、じっくりと歩む時間の両方を意識して、筆を運びました。松江志は踏み出さないと見えないと同時に、何十年もかけてようやくかなうものですが、この筆づかいにそれを感じます。最初に「志」を意識したのは、学生時代です。「青雲の志」という言葉に出会い、その響きに強く惹かれたことを今でも覚えています。当時は政治家も輩出するような雄弁会というサークルに所属し、国の未来を語り合っていました。その思いのまま、日本を変革する仕事に携わりたいと思って社会に出ましたが、無論、そう甘くはありませんでした。忙しい日々の中で、志を見失った時期もあります。しかし、まだ何かできるかもしれないと粘り続けたことで、今ようやく、日本を主語にして語れる立場に近づいた気がしています。岡西諦めなかった原動力は何なのでしょうか。松江学生時代に青臭く語っていたことを実現したい強い思い、まさに志が原点です。自分の都合で手放すべきものではないし、自分にまだチャンスがあるならがんばるべきだと思い続けてきました。進むたびに悩みも生じますが、苦しいときほど思いを書き記しながら、自問自答を繰り返しました。ある人から「悩みを乗り越えた経験の数だけ、
人は対応力が広がる」と言われたことがあるのですが、そう考えられるようになってからは、困難も成長の機会だと思えるようになりました。岡西日本のこの先は明るいとおっしゃる発言を目にしたのですが、その背景をもう少し伺えますか。松江これからは、量ではなく心の豊かさや幸福度を物差しに見ていく時代です。日本には、文化や自然、社会的なつながりといった無形のアセットのストックがあり、潜在力が大いにあります。 100 年後の人たちから、「失われた数十年があったからこそ、日本はウェルビーイングを重視する新たな先進社会へ転換できた」と思われる時代にしたいです。人口減を前提にしても、逆転の発想で輝けるモデルは十分作れますし、特性を活かしながら多面的に取り組むアプローチは、日本は得意だと思っています。岡西経済同友会では複数の委員会に参画しつつ、副代表幹事ならびに、経済同友会インスティチュートの委員長を務めていらっしゃいます。今後の展望をお聞かせください。松江経済同友会はもともとシンクタンクとしての役割を担っていますが、さらにその機能を強化していくのが、インスティチュートの役割です。インターネット上の情報が AIのインプットとなる時代だからこそ一次情報、他にない経営者の生の声は、より大きな価値を持ちます。その声を集め政策提言に活かす、かつ政府や政党、メディアとも連携して実践できるのが、経済同友会の特色です。この強みを生かし、「日本を前向きに」する活動を積極的に進めたいと思っています。
書家岡西佑奈
1985 年3月生まれ。 23 歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。 02 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

2026年度夏季セミナー特集(3ページ目)
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2026年度夏季セミナー特集

特集1
2026 夏季セミナー
2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー共助成長社会の実現に向けた選択肢
~対立軸を直視し、本質的な解決の道を議論する~
経済同友会は 7 月 17~18 日、第 41 回夏季セミナーを長野・軽井沢にて開催した。
山口明夫代表幹事をはじめ、副代表幹事、各委員会委員長などが参加した。「共助成長社会」の実現に向けた方策について、五つのセッションと二つの特別セッションを設け、各々のテーマについて議論を深めた。
またオンライン配信によって本会会員、各地の経済同友会、メディアなどにも
オープン(特別セッション「哲学者との対話 PT 」は非公開)にした。(所属・役職は開催時)
開会挨拶
山口明夫
代表幹事日本アイ・ビー・エム代表取締役社長
何に、いつまでに、どう取り組むか議論したい代表幹事に就任してからの半年間に、多くの有識者から得た知見を、本セミナーに向けて、一つのストーリーとして整理をした。これから、これをたたき台として皆さんと議論し、アクション項目を深掘り・追加しながら、経済同友会の活動のベースとなる考え方として発展させたい。また、夏季セミナーの趣意書を準備し、日本経済の現在の立ち位置、共助成長社会に向けて取り組むべきこと、認識すべき重要課題を整理している。今回のセミナーの目的は、共助成長社会の実現に向けて、「何に、いつまでに、どう取り組むか」をオープンに議論することである。セミナー後、それぞれの委員会として、また経済同友会全体で取り組むことや、政府に要請すべきことを整理し、一つひとつ実行に移していきたい。
INDEX セッション 1 共助成長社会の姿…………04 セッション 2 企業経営者の役割…………05
特別セッション変化の触媒としてのAI……08
特別セッション哲学者との対話 PT…………11 セッション 3 成長実現の方策……………12 セッション 4 民間セクターによる共助…15 セッション 5 社会の安定と政府の役割…18
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セッション1 共助成長社会の姿(4ページ目)
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セッション1 共助成長社会の姿

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セッション session
共助成長社会の姿
私たちが目指す共助成長社会とは、どのような社会か。国・市場・企業が担う役割はどのようなものか。日本の置かれた状況への危機感と、さまざまな不都合な真実について認識を共有し、その上で、共助成長社会の実現に不可欠な変革と選択肢は何か、経営者が当事者意識を持って議論したい。
問題提起|山口明夫代表幹事
30 年で蓄えたストックをいかに躍動させ成長のフローへ転換するか
この 30 年、日本経済では、物価・価格・利益・賃金・消費が伸びない停滞のサイクルが続き、企業はその間、「安くて良いもの」を志向する経営を行ってきた。その結果、世界の輸出に占める日本のシェアは 1986 年の 10.3%から 2025 年には 2.8%へ低下し、実質賃金はこの 30 年ほぼ横ばい(米国 1.48 倍・ドイツ 1.24 倍に対し日本 0.99 倍)だ。労働生産性は G7 の中で最低水準である。産業用ロボット・工作機械・半導体材料など、競争力ある製品を造る力は保っているがシェアは漸減傾向にある。
一方で、この 30 年間で企業の総資産は約 2,270 兆円(94 年度比 1.75 倍)に増加した。家計の金融資産は 2,386 兆円に達し、現預金比率の低下から、投資に回り始めていることが分かる。また、日本は対外純資産 550 兆円と、世界有数の債権国でもある。問われているのは、日本がこの 30 年で蓄えた「量」ではなく、このストックをいかに躍動させ、成長のフローへ転換するかである。
三つの逆風と、四つの取り組み
日本経済は潮目が変化した局面にある。株価は一時 7 万円超、金利は 31 年ぶりの高水準(1.0%)、賃上げは3年連続5%といったプラス材料が揃っている。しかし、この好機を脅かす三つの逆風がある。①人手不足と格差の拡大
二極化する「 K 字型経済」で、大企業・輸出企業・資産保有層と、中小企業・輸入企業・非資産保有層の差が拡大した。 2030 年には労働力が約 300 万人超の不足と推計される一方で、事務系人材は余剰との予測もあり、需給のミスマッチが深刻である。②資源高と円安のジレンマ
日本にとっての交易条件は 2007 〜 08 年ごろを境にマイナス基調(高く買い、安く売る構造)となった。高付加価値品を作れなかった背景には研究開発・人材投資の抑制がある。足元のエネルギー高によって交易条件はさらに悪化する恐れもある。為替は 160 円台で推移し、ウクライナ情勢は収束せず、中東情勢も不安定である。③自国優先主義と地政学リスク
関税が外交の道具となり、供給網が安全保障の問題になる。経済の結び付きが武
器化する中で、日本経済が自律し、世界にとっての不可欠性を築けるかが問われている。人の幸せとは、「自分の居場所が社会の中にあり、一人ひとりがどのような形であれ活躍できる舞台が存在すること」である。経済成長は、それを実現するための必要条件ではあるが、十分条件ではない。互いを思いやる共助の気持ちと、それに基づく行動があってこそ、初めて実現するものである。これこそが、私たちの目指す共助成長社会である。共助成長社会の数値目標は、 2040 年代初頭に一人当たり名目 GDPを倍増させる「令和の所得倍増計画」である。具体的には年間 0.8%の人口減を織り込んだ上で、名目3%・実質1%以上の成長を長期間継続することである。この高い目標の達成に向け、四つの取り組みによって、これまで蓄えたストックを成長のフローへと転換することに、産学官連携で挑む必要がある。①企業の力強い成長守りから攻めの経営への転換。パーパスを軸とし、収益の積極的な再投資、株主還元のあり方の再考、生成 AI・フィジカルAIによる生産性向上、ガバナンス・コードや会社法制度の不断の見直し、経営リーダーの育成を進める。②新規市場・産業の創出規制によって眠っている領域の解放に加え、過剰な規制・企業支援の撤廃により新陳代謝を促進することが重要である。また、半導体・重要鉱物・ AI・データ・エネルギーなどについて経済安全保障を推進することや、二国間 EPA・広域 FTAの推進とグローバルサウスを含む海外市場へのアクセスが重要となる。③人材の育成と流動化・研究力の強化企業による人材の抱え込みによって企業・社員双方が不幸にならないよう、株式による報酬を広げ、人材流動化の仕組みを作りたい。また、女性活躍の推進のため、本会会員のネットワークを活用した取り組みを始める予定である。さらに、生成 AI 時代に合わせた学びの再定義、産学連携による高等教育の進化や、研究機関・大学の「横串」連携が重要である。④リスクマネーの拡充家計資産の「貯蓄から投資へ」の流れを加速すること、アセットオーナーの高度化、企業年金や大学ファンドの活用が挙げられる。企業については、過去 30 年で増加した利益剰余金 500 兆円の国内投資が期待される。また、グロース市場改革・M&A ・未上場株の流 04 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

セッション2 企業経営者の役割(5ページ目)
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セッション2 企業経営者の役割

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
動化にもチャレンジしていくべきである。
きょうじん経済成長、持続可能で強靭な社会システム、支え合いの共助、三つがそろって社会が動く
これら四つがかみ合えば、国内産業の強化、投資拡大・海外市場確保、持続的な賃上げ、所得向上、消費・投資の拡大という好循環が回り始めるはずだ。
また、国民生活の基盤強化のため、社会の「器」のバージョンアップを図る必要がある。具体的には、財政・社会保
障の持続可能性向上(消費税減税・給付付き税額控除など)、
統治システムのアップデート(地方自治体の広域連携・再編、行政・社会基盤のデジタル化・省人化、医療改革)を行い、安心・安全の強靭化(医療・介護、食料・エネルギーの自給力向上、供給網の多重化、国土強靭化)を進めたい。
経済成長のベースとなる共助の拡充も重要である。人は支え合って生きており、「おかげさま」が出発点である。また、「共助」の取り組みに参画すること自体が、市民性とウェルビーイングを高めることにつながる。また、公助には財源の限界があるが故に共助が重要という側面もある。市民・企業・NPO ・アカデミアが担う支え合いの空間を、市場の中にも取り戻すことが重要である。「経済成長」「持続可能で強靭な社会システム」「支え合いの共助」、この三つがそろって社会が動く。この中にあって、企業は本業の力で価値を生み、自らのあり方を変革してさらに付加価値の高いものを生み出すために、人材や研究開発への投資をこれまで以上に果敢に行う必要がある。逆風を乗り越え、日本にとって久々の好機を確かな成長へとつなげたい。
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セッション session
企業経営者の役割
企業を取り巻く環境が大きく変化する中、経営者にはこれまで以上に大胆な意思決定が求められている。持続的な成長を実現する経営者の決断と変革とは何か。
ファシリテーターパネリスト
安田結子寺田航平
辻庸介岡田直樹
副代表幹事企業経営・変革委員会委員長ボードアドバイザーズ取締役副社長
副代表幹事中堅・中小企業の変革委員会委員長寺田倉庫代表取締役社長
副代表幹事スタートアップ推進総合委員会委員長マネーフォワード代表取締役社長グループ CEO
幹事企業経営・変革委員会副委員長フジクラ代表取締役社長 CEO パネルディスカッション登壇者の発言(要旨)
環境変化の中で企業経営者の役割は大きくなっている安田日本企業を取り巻く経営環境の「節目が変わった」
しゅうえん
と認識している。 30 年間続いたデフレ経済の終焉、 AI 革
命による産業構造の変化、人手不足による労働供給の制約、地政学リスク、アクティビスト(物言う株主)など資本市場からの要請の高まりなど環境変化の中で、企業経営者の役割もますます大きなものになっている。登壇企業の経営者から以下の3 点について伺いたい。•経営環境の変化に対して経営者としてどのような意思
決定を行っているか。•経営者に重視される経営判断の基準軸や経営の本質的課題とは何か•事業ポートフォリオ改革・ M&A などの新陳代謝、ガバナンス・取締役会といった経営の本質をどう考えるか
AI 時代における成長戦略と中堅・中小企業の変革ガバナンス改革や経営者交代の仕組み作りも
寺田
日本の中堅・中小企業は「生きるか死ぬかの曲がり角」にある。金利上昇や価格転嫁の遅れ、人材不足、 AI の
2026 / 8 ・ 9 keizai doyu
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AI時代を見据えた事業転換(6ページ目)
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AI時代を見据えた事業転換

急速な普及など、経営環境は大きく変化している。こうした環境下では、 AIを単なるコスト削減の手段として捉えるのではなく、売上向上や生産性向上を実現するための手段として活用することが重要であり、企業は守りの経営から脱却し、成長投資へ資本を振り向ける必要がある。寺田倉庫では、「預かる」事業から「価値を再生する」事業への転換を進めており、アートや映像などのエコシステム構築や、データ化による新たな価値創出に取り組んでいる。経営者には、既存事業の価値をあらためて問い直す視点に加え、ファミリービジネスにおけるガバナンス強化や権限委譲の仕組み作り、スタートアップとの協業やM&Aを通じた成長戦略が求められる。日本は企業数に対して優秀
とうた
な経営者が不足しており、今後は企業の淘汰や再編が進む
ことが想定される。中堅・中小企業が変革を進めるためには、ガバナンス改革や経営者交代の仕組み作り、信用力向上による資金調達力の強化が重要な条件となる。
AI 時代を見据えた事業転換とスタートアップ共生辻スタートアップを取り巻く資金調達環境は大きく変化している。 IPO 市場では大型案件への集中が進む一方で、ディープテック企業が量産段階で必要とする大型資金を供給できる国内 VCは不足している。また、市場ではSaaS 企業からAI 企業への転換が求められている。 AIによってコストが大きく低下する中、自社においてもSaaSとAIを組み合わせた事業転換を進め、生産性向上を最優先課題として取り組んでいる。経営判断の軸としては、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを基盤に、ユーザーの課題を起点として事業領域を拡大してきた。既存事業の深化と新規事業の探索を両立する「両利きの経営」を実践し、社長直轄組織によって複数の新規事業を並行して推進している。ア
クティビストとの対話についても、企業価値向上という共通の目的を踏まえ、企業戦略を丁寧に説明しながら建設的な対話を重ねることが重要である。企業変革には、スタートアップと大企業・中堅企業が共生するエコシステムの構築と、 AIを組織運営の中心に据えたオペレーション改革が不可欠であり、生産性を飛躍的に高める組織づくりこそが競争力の源泉になる。危機を成長機会へ転換する経営と戦略的投資岡田フジクラは2020 年に経営危機に直面したが、危機こそが変革を進める最大の機会である。経営環境が大きく変化する中では、企業自身も変わり続けなければ競争力を維持することはできない。変化はリスクである一方、成長や差別化を実現する機会でもあり、「進取の精神」と「技術力」という企業 DNAを基盤に事業改革を進めている。経営判断においては、経営環境に応じたキャピタルアロケーションを重視している。経営危機時には財務体質の改善を優先し、段階に応じた資本政策を推進している。競争優位性は、新製品そのものだけによって生まれるものではない。新製品開発と量産技術開発を一体で進めることで、他社には容易に模倣できない強みを築くことができる。特に、生産技術こそが競争力の源泉である。企業変革を進めるためには、デジタル社会への貢献とカーボンニュートラルの実現という明確なパーパスを掲げることが重要である。その上で、生成 AI 向け光ケーブル需要など将来市場を見据えた3,000 億円規模の戦略投資を実施し、「投資しないリスク」も踏まえた意思決定を行う必要がある。海外売上比率 80%超の企業として、世界市場で勝ち続ける競争力を維持・強化することが、持続的な企業成長の前提条件である。フロアとの質疑応答(抜粋要旨) Q AIと人材育成は
AIが生産性向上の手段である一方、ホワイトカラー業務の代替など人材や組織に大きな影響を及ぼす可能性がある。その上で、 AI 時代において若手社員、ミドルマネジメント、役員層にどのような役割や能力を期待し、経営者としてどのようなメッセージを発信しているのか、各社の人材育成や組織づくりの考え方について知りたい。 Q AIの費用化と経営資源への影響は
AI 活用は個人レベルでは利便性が高い一方で、組織全体へ導入した場合に十分な投資対効果を得られるかは、依然として不確実性が大きい。また、将来的にはAIの利用
コストがリターンを大幅に上回る可能性があり、 AI をいかに経営に組み込み、競争優位につなげるかが重要である。例えば、 OIST(沖縄科学技術大学院大学)の生命科学分野の研究では、研究者が自ら計算資源を確保し、 AIを設計・運用し研究成果を生み出している事例があるが、企業においても、自社固有の強みや知的資産を守りながらAIを適切に活用し、付加価値を創出していくことが重要である。経営者はその仕組みを構築していくことが求められる。
AI 活用を前提とした業務改革と組織づくりを促進寺田 AIは経営者・社員の日常業務に不可欠なツールとなっており、自身もプレゼン資料のブラッシュアップをはじめ、複数のAI エージェントを活用して定期的なデータ確 06 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

製造現場におけるAI活用(7ページ目)
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製造現場におけるAI活用

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
認や経営企画業務を自動化している。また、全社員にAI の積極的な活用を促し、日常業務全般にAIを組み込んでいる。組織面では、 AI を使った業務改革を推進するため、習得の早い20 代後半の社員を各部門へ配置し、改革の推進役を担わせ、用途に応じて複数のAIモデルを使い分け、システム部門がセキュリティ管理を担う体制を整備している。
AIの活用領域として、アートなど顧客の嗜好分析による提案精度の向上や、預かった商品のデータ化・価格推定などに取り組んでいる。さらに、バックオフィスや定型業務の効率化にも活用し、事業価値向上と業務改革の両面につなげている。
AIを前提とした人材育成と経営・組織改革を辻 AI を使いこなせる人材とそうでない人材では生産性に 5 倍、 10 倍、 100 倍も差が生まれる可能性があり、特にテクノロジー業界ではAI を活用できることが市場価値を高める重要な要素になると社員へ繰り返し発信している。また自身も経営データや議事録、音声情報をAI へ学習させ、意思決定や資料作成をAIエージェントへ委ねることで、「 AIエー
ジェントが夜中中働く」経営体制の実現を目指している。
AI 導入を円滑に進めるためには、経営者のそばに若手エンジニアを配置し、技術的な相談や課題解決を担わせることが有効だ。採用面ではハイグレードなエンジニアへ重点を移し、組織をフラットで小規模なチームへ再編している。
AI 投資についてはAI 利用コストが増加しているものの、人件費とAI 投資を一体で管理するとともに、より適切なモデルの活用や社内機械学習によるトークン使用量の削減を進めることでコスト最適化を図っている。 AI 導入により既存サービスは従来 10 人で担っていた業務を3~5人で運営できるようになり、創出した人材をAI 新規事業へ再配置することで、中長期的な成長につなげたい。製造現場におけるAI 活用岡田製造業におけるAI 活用は投資対効果が非常に高い分野であり、製品の目視検査の自動化や製造条件管理、不良品の原因分析など、製造現場における品質管理や生産性向上の領域で効果が明確に表れており、製造現場の競争力強化につながる重要な投資である。
総括
国際競争力を高めるには、大規模な成長投資を促す政策とフィジカル AI やデータセンターへの戦略的な投資を
岡田米国で事業を展開する中、データセンターや核融合などへの投資規模は日本とは圧倒的な差があり、このままでは日本が世界で競争力を取り戻すのは難しいと感じている。競争力を高めるには、大きな市場を創出することと、新規事業や先端技術へ十分な資金が集まる仕組みを整えることが重要だ。米国ではハイパースケーラー、中国では政府が巨額投資を行っており、日本もより積極的な政策支援が必要だ。日本の強みであるものづくりを活かすためには、フィジカル AI(ロボティクスなど実世界で活用される AI )の発展が重要であり、その基盤となるデータセンターへの投資も一層進める必要がある。
世界一を目指す高い志を持ち経営者同士が情報共有と連携し新しい価値を創出
辻
サッカー日本代表が「世界一になる」という明確な目標を掲げることで成長している。日本企業は「ナンバーワンになる」「世界を変える存在になる」という意識や挑戦心をより強く持つ必要がある。 AI の進化スピードは非常に速く、迅速な情報収集・意思決定・対応が重要であり、経営者同士の情報共有や議論の場の価値が高まっている。今後は業界の境界が大きく変化するため、企業単独で競争するだけでなく、企業同士が連携(合従連衡)しながら強い
サービスやビジネスをつくることが重要だ。
国による成長分野への投資と企業同士の成功事例を両輪として、日本全体の企業変革と経済成長を目指すべき
寺田 17 の成長分野のような国家戦略領域については、国が主導して積極的に資金投入する仕組みが必要だ。一方で、企業側は中堅・中小企業の成功事例を広く共有し、全国へ展開していくことが重要だ。経済同友会の全国的なネットワークを活用し、企業変革の取り組みや成功ノウハウを共有・伝播させる仕組みを作り、個々の企業の努力を大きな経済成長につなげたい。
経営者が複雑なジレンマに向き合う判断力を磨き官民一体で投資・資金循環・研究開発の仕組みを強化
山口代表幹事重要なのはさまざまなジレンマの中で何を基準に意思決定するかという点である。国内経済成長と自社成長のバランス、事業構造改革と社員の雇用維持、長期的な投資と短期的な業績確保といった判断軸について、経済同友会の活動を通じて経営者同士が学び、議論していくことが重要だ。また、海外では数十兆円規模の投資が短期間で進んでおり、日本との差を感じている。政府投資だけに頼るのではなく、企業・金融機関・個人を含めたリスクマネーが循環する仕組み作りが必要ではないか。企業単独ではなく「オールジャパン」で世界と戦える研究開発体制の構築が重要だ。
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特別セッション 変化の触媒としてのAI(8ページ目)
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特別セッション 変化の触媒としてのAI

セッション特別 session
変化の触媒としての AI
AI をはじめとする技術革新の最先端の動向と日本の立ち位置、そして AI テクノロジーを経済・社会変革の駆動力として、組織・社会に実装するための課題について探る。
ファシリテーター問題提起
山口明夫
代表幹事日本アイ・ビー・エム代表取締役社長
長﨑忠雄
OpenAI Japan 代表執行役社長
上野山勝也
AI 戦略委員会委員長 PKSHA Technology 代表取締役問題提起登壇者の発言(抜粋要旨)
世界的に見た AI の現在地 AI テクノロジーはどこに向かうのか
山口生成 AI は OpenAI の ChatGPT をはじめ、 Anthropic の Claude 、 Google の Gemini など多様なプレーヤーが登場した。 AI 技術はどのような発展段階にあり、今後どのような方向へ進化していくとお考えか。長﨑
OpenAI は約 11 年前、「汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすようにする」というビジョンの下に創業した。約 4 年前に ChatGPT を公開したことで、主に研究者だけが利用する技術だった AI が、誰もが自然な対話を通じて利用できるものとなり「 AI の民主化」の第一歩を踏み出した。
現在の AI は質問に答えるだけのチャット型から、与えられた目標に応じて複数の業務やワークフローを自律的に実行する AI エージェントの段階へと進化している。進化のスピードは非常に速く、今後は医療、創薬、科学、ゲノム解析などの分野で、人間が長年解決できなかった課題の解決や新たな発見を支援する役割を担うようになると期待している。実際に、長年解決されなかった数学の問題を最新の AI モデルが解決した事例もあり、今後は創薬など幅広い分野で新たなブレークスルーが生まれる可能性がある。 AI はチャットの時代からエージェントの時代へと移行しつつある。山口
今後はプレーヤーが淘汰されていくのか、それともそれぞれが異なる強みを持ちながら共存・発展していくのか。 AI 業界全体の方向性について、お考えをお伺いしたい。長﨑 AI モデルの選択肢が増えたことは、利用者にとって
非常に望ましいことだと考えている。現時点では各社のフとうたロンティアモデルが大きく淘汰されるというよりも、それ
ぞれが競争しながら進化し、多様な選択肢を提供する状況
せっさたくま
が続くのではないかと見ている。切磋琢磨しながら技術革
新を進めることは AI 全体の発展につながると考えている。
日本の立ち位置、戦略 AI 時代の日本の強み、戦い方は
山口
日本企業は生成 AI やフロンティア AI をどの程度活用できているとお考えか。他国と比較した際に、日本企業が優れている点や課題と感じる点はあるか。さらに、生成 AI をより効果的に活用し、企業経営の競争力向上につなげるためには、どのような取り組みが重要だとお考えか。長﨑
日本企業の AI 導入は決して遅れているわけではなく、先進的な活用を進めている企業も存在する。特に大企業では積極的な取り組みが見られる。一方で、 AI を本格的に組み込み、事業に大きなインパクトをもたらすレベルまで活用できている企業はまだ少ない。現状は PoC(概念実証)や、限定的な試験導入の段階にとどまるケースが多く、今後は PoC から実運用・全社展開へ移行することが重要なフェーズとなる。欧州でも PoC 中心の企業が多い。
米国では AI を実際の業務プロセスへ組み込む企業が比較的進んでいる。シリコンバレーと比較すると差はあるものの、日本全体として極端に遅れているわけではない。
日本企業の特徴として、 AI を経営課題としてトップマネジメントが主導するケースはまだ少ない。現場主導で個人の生産性向上には活用されているものの、その成果が事業部や経営レベルでの変革や企業価値向上につながってい 08 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

日本独自のAI開発の役割と可能性(9ページ目)
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日本独自のAI開発の役割と可能性

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
る例は限定的である。米国企業ではAIを経営戦略の中核に位置付け、「 AI 導入によって企業がどう変わるか」を経営レベルで議論している。 AIによる業務効率化にとどまらず、自らがAIネーティブな企業となり、市場を変革する側(ディスラプター)を目指す企業が多い点が日本企業との大きな違いである。日本独自のAI 開発の役割と可能性山口 OpenAIのようなグローバルなフロンティアAIがある一方で、日本では独自の基盤モデルの開発も進められている。またロボットや個別の機器に組み込まれるAIなど、多様なAIが登場している。上野山さんは日本独自の AI 開発に取り組まれているが、 AIの多様化や日本独自の AIの役割・可能性について、どのようにお考えか。上野山 AI 産業には大きく二つの競争領域(ゲーム)が存在すると考えている。一つ目はOpenAIやAnthropicに代表されるスケーリングのゲームであり、大規模な計算基盤と基盤モデルの性能向上を競う領域である。二つ目はクラフトマンシップのゲームであり、既存の基盤モデルや小規模モデルを組み合わせ、用途に特化した新たなサービスやユーザー体験を創出する領域である。米国ではCursorやHarveyのように、基盤モデルそのものではなく既存のAIを活用して業界特化型のサービスを提供する企業が急成長している。 PKSHA Technologyは後者の領域に位置付けられ、 AIを活用したコミュニケーション支援サービスの開発に注力している。コンタクトセンター業務の自動応答・自動処理を実現するAIを提供していて、社内会議にはAIが会議に参加し、議事録作成、要約、アクションアイテムの抽出を行い、会議に参加できなかったメンバーへの情報共有まで支援するなど、コミュニケーションを高度化するAIプロダクトを開発している。山口そのAIは単独で動作するのか。それとも、自社で開発したAIに加え、 OpenAIなどの基盤モデルと連携しながら業務を実行する仕組みなのか。上野山 PKSHAでは自社のAIプロダクトに加え、例えばOpenAIの基盤モデルをAPI 経由で組み込み、最適なユーザー体験を提供している。必要に応じてOpenAIなどの外部 AIを活用し、自社のAIと組み合わせて処理を行うアーキテクチャを採用している。今後は、このような基盤モデルを活用した用途特化型 AI がさらに増えていくと考えている。 AI は全ての処理に高性能モデルを利用するのではなく、業務の難易度や目的に応じて適切なモデルを使い分けることが重要である。例えば、コンタクトセンターでは、単純な問い合わせには軽量で低コストのモデルを、高度な判断が必要な問い合わせには高性能モデルを利用するなど、用途に応じて最適なAI
を選択することでコストと性能のバランスを図っている。 AIは組織・企業経営、働き方をどう変えるのか山口例えば、企業ごとに専用のAIがあり、医療分野では病院や製薬会社向けのAI 、さらにコールセンター向けのAIなど用途ごとにさまざまなAIが存在するようになるのか。一つの企業の中でも何十、何百というAIが稼働する時代になるのではないかと考えている。 OpenAIをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が、その中核となる基盤として機能していくという理解でよいのか。長﨑フロンティアモデル(最先端の大規模 AIモデル)は自動車における「エンジン」のような存在である。企業はこれを基盤として、用途特化型のAIを構築し、人がそれらを管理・活用するようになると考えている。 AIエージェントが企業内の反復的で煩雑な業務を自律的に実行することで、従業員はAIエージェントの管理・活用や、より価値の高い仕事に注力できるようになり、個人の能力の発揮と、組織全体の生産性向上につながる。一方で、仕事量が増加する中では、自ら優先順位を付け、業務を区切る管理が重要になる。人の仕事がなくなるのではなく、人がAI を活用することで各人のパフォーマンスが飛躍的に向上する世界になると考える。
AIエージェントの普及により、働き方や人に求められる役割は大きく変化している。従来、フロンティアモデルのリリース間隔に約 15カ月を要していたものが、最近では約 6 週間まで短縮されている。 OpenAIのコーディングエージェント「 Codex 」の進化により、モデル開発の速度と改善サイクルが飛躍的に加速しており、 AI 自身がAI 開発を支援する時代が到来している。山口 AIの普及に伴い、「人が不要になる」「雇用が減少する」といった議論も多く見られる。しかし実際には、 AIを活用することで仕事の内容や役割が変化しているという側面が大きいのではないか。 OpenAIのファイナンス部門では少人数でも高い成果を上げられているとのことだが、人の働き方や人材の流動性、さらに雇用はどのように変化していくとお考えか。長﨑現時点で、 AIの普及によってナレッジワーカーの雇用が大幅に減少しているという事実は確認していない。 OpenAIがお客さまと接する中では、そのような傾向は見られていない。むしろAIの活用により、顧客への価値提供のスピードや業務遂行のサイクルが大きく向上し、 AI エージェントを活用することで定型業務や煩雑な作業を自動化し、人はより付加価値の高い業務へシフトできる。人の仕事がなくなるというよりも、働き方そのものが変化し、新たな雇用や役割が生まれる可能性があると考えている。開発者は複数のタスクをAI エージェントに任せ、その成果
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日本政府が掲げるAI戦略(10ページ目)
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日本政府が掲げるAI戦略

特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
物を評価・改善する役割へとシフトしており、人は「作業者」から「 AI をマネジメントする存在」へ変化している。山口 IT 業界でも、従来はシステム開発に多くの時間を費やしていたが、 AI の活用によって開発期間が大幅に短縮されている。その結果、顧客との対話や課題の深掘りにより多くの時間を割けるようになり、「顧客にとって本当に価値のあるものは何か」を考える時間が増えている。 AI によって仕事がなくなるのではなく、人が担う業務の質や役割がより高い付加価値を生み出す方向へ変化していくことが重要である。
日本政府が掲げる「バーティカル AI 」「フィジカル AI 」について
山口 AI を開発されている立場で、開発現場の変化をどのようにご覧になっているか。上野山 AI の普及により、開発現場はむしろ忙しくなっていると感じている。ソフトウエア開発の効率化によって雇用が減るという議論もあるが、これまでコスト面の制約からソフトウエアを導入できなかった市場へもサービスを提供できるようになる可能性がある。
例えば、 NPO などこれまで導入コストの高さから十分にソフトウエアを活用できなかった分野にも、 AI の活用が広がることが期待される。 AI によって開発コストが下がることで市場そのものが拡大し、新たな需要や価値が創出されると考えている。
AI は用途によって必要な性能(インテリジェンス)が異なるため、全ての業務で最高性能のモデルを利用する必要はない。例えば、議事録作成のような定型業務に最先端のフロンティアモデルを利用することは、コスト面から見ても必ずしも最適ではない。フロンティアモデルとローカル LLM を適切に使い分けることが、企業の AI 主権(ソブリン AI)の確保につながる。山口
全ての業務に高性能な AI を利用することは、自転車で行ける距離のコンビニへ行くのにフェラーリで向かうようなものであり、用途に応じた AI の選択が重要である。企業経営者には AI の性能・コスト・用途を理解し、適切に使い分ける判断力が求められるか。日本政府は「バーティカル AI 」や「フィジカル AI 」などの戦略を打ち出している * が、こうした方向性をどのように評価しているか。上野山
日本政府が掲げるのは基盤モデルの性能競争(スケーリング)ではなく、用途特化型 AI や製品・サービスとして価値を創出する「クラフトマンシップ」の領域で競争する戦略と理解している。フィジカル AI は AI だけでなく、ソフトウエア、制御技術、ハードウエアを組み合わせて価値を生み出すものであり、日本企業の強みを発揮しやすい分野である。
例えば、中国企業の Dreame が開発するロボット掃除機はロボットアームによる片付け機能などを備えたフィジカル AI の実例であり、 AI ・制御・メカニクスを融合した製品となっている。 Harvey のような法律分野に特化した AI はバーティカル AI の代表例であり、今後は基盤モデル単体ではなく、アプリケーションまで含めた垂直統合によって価値を創出することが重要になる。長﨑
日本独自の AI 戦略はフロンティアモデルと対立するものではなく、用途に応じた選択肢の一つとして捉えるべきである。フロンティアモデルは世界最高水準の知能を提供する一方、ソブリン AI やデータ主権、エッジ環境での利用など、用途によっては別の AI が適している場合もある。「国産 AI か海外 AI か」「オープンウェイトモデルかクローズドモデルか」といった二項対立ではなく、それぞれの特性を踏まえ、俯瞰的に使い分ける視点が重要かと考える。
AI 時代における経営への提言
長﨑 AI 活用は現場任せにするのではなく、経営課題として捉え、経営戦略の中核に位置付けることが重要である。経営層が明確な目的を示し、現場と共に責任体制、評価指標、ガバナンスを整えることで、 AI が生み出す価値を継続的に検証し、組織全体での活用につなげていく。日本が AI の社会実装を世界でリードする国になることを期待している。上野山 AI は単なる業務効率化ではなく、各企業が長年培ってきた強みや競争力をさらに加速させるために活用すべきである。 AI の社会実装は人の仕事を奪うものではなく、人と企業の価値創造を支えるものであり、結果として働く喜びや創造性を高める方向へ進むことを期待している。山口
今後は複数の汎用 AI と用途特化型 AI が共存・連携する時代となり、企業にはそれらを最適に組み合わせて活用する設計力が求められる。一方で、セキュリティ、データセンター、 AI 利用コストなどの課題にも対応しながら、中長期的な技術進化を見据えた経営判断が必要になる。
*日本政府が掲げる AI 基本計画。バーティカル AI(特定領域特化型)は医療・製造・防災・行政など特定の業界や現場に深く入り込み、蓄積された暗黙知や専門データを学習させる AI 。フィジカル AI(実空間動作型)はロボットや自動運転、工作機械など実世界(物理空間)のセンサーと連動して自律的に駆動・制御する AI 10 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

特別セッション 哲学者との対話(11ページ目)
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特別セッション 哲学者との対話

セッション特別 session
哲学者との対話 PT
哲学者との対話 PTは昨年度から十数回の議論を通じて共助資本主義の概念を磨いてきた。そこから得られた「共助」の概念整理と論点を、企業経営者としてどう受け止め、共通認識を養うか、意見交換を行った。
ファシリテーターを務めた岩井筆頭副代表幹事(写真右から 3 人目)、吉田氏(同 2 人目)、林委員長(同1人目)
ファシリテーター岩井睦雄
筆頭副代表幹事哲学者との対話 PT 担当副代表幹事日本たばこ産業社友
林礼子
哲学者との対話 PT 委員長国連ウィメン日本協会理事長
吉田幸司
クロス・フィロソフィーズ代表取締役社長導入(抜粋要旨)
背景とこれまでの動きとこれから■本 PT の発端は新浪前代表幹事との私的な勉強会であり、共助資本主義について哲学的に考え、対話することを試みた。そこで、共助資本主義の捉え方に幅があることが分かり、実践への取り組みと並行して本 PT を立ち上げ、共助資本主義の概念を磨いてきた。企業がパーパスやビジョンを浸透させる上では言葉を大切にすることが非常に重要だ。即答を求めるよりも内省し対話を重ねて自身の軸をつくり、発信することが経営者には重要だと考えている。経済同友会でも共助資本主義についてしっかりと概念化していこうとするのが本 PT である。共助成長社会への橋渡しも含め、中間報告として仮説を提示しながら対話を進める。対話のための概要説明(抜粋要旨)
なぜ「共助資本主義・共助成長社会」という概念を掘り下げるのか
岩井睦雄
吉田幸司■同じ言葉でも、立場により意味の捉え方は異なる。負の側面も含め、見直すことが必要だ。概念を理解することはチームや組織の力になり、競争力・共創力を生む。日本が大切にしていることをきちんと言語化・発信するときにも、それが何かを見極めることが必要だ。そうすることがグローバル社会での競争力・共創力にもつながる。■当初は「共助すべき」「ビジネスチャンスになる」というような言葉が使われていたが、経済成長のために共助(活動)をするわけではないという議論が生まれてきた。
共助は「すべき(義務)」ではなく、「居ても立ってもいられず」取り組むものである。結果として山口代表幹事の提唱する共助成長社会に適合する形になった。■「アニマル・スピリッツ」という言葉は、獰猛で貪欲なイメージを与えるが、元々はケインズの言葉で、「人間の積極的な活動の決意は数字や合理性ではなく、人間本来の衝動の結果として行われる」という文脈で使われている。なぜ共助するか■共助なくして社会や企業活動は持続できない。各社は自らのマテリアリティやケイパビリティを踏まえて、社会課題解決に取り組んでよい。ただし、投資家と経営者とで時間軸や成果への評価が異なるといった課題や、共助への思いは個人の資質に依存するのか、組織・制度として実装できるのか、といった課題がある。「成長」は経済成長のみを指すのかどうかも論点の一つだ。「共助」と「成長」の関係について対話■本日の対話テーマは以下である。①企業経営者は共助に取り組む根拠をどこに持つか②共助への思い・姿勢は個人の資質に依存するのか組織・制度として実装できるのか③共助を支える時間軸と資本市場の時間軸の違いをどう考えるか。「共助が社会の外部不経済を抑止し、社会の持続可能性を維持する」と考えれば、社会や企業活動が持続可能になるような成長の基盤を作ることができる。「共感とアニマル・スピリッツによって新たな市場を生む」と考えれば、共助は中長期的に見れば事業活動を支えるものであり、株主にリターンを返すものにもなる。「共助が成長の定義を変える」と考えれば、成長は GDP などの量的成長だけでなく、ウェルビーイングや人的・自然・文化資本を含む、より広い意味で捉えることができる。
共助資本主義から共助成長社会への橋渡しその違いと成長の再定義■本 PT でも共助資本主義の「資本」について、金銭的
な資本だけではなく、人的資本や自然資本、文化資本に固有の価値があると捉えてきたが、共助成長社会の「成長」も同様に捉えてよいのかが対話の論点の一つとなる。
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セッション3 成長実現の方策(12ページ目)
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セッション3 成長実現の方策

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セッション session
成長実現の方策ビデオメッセージ(要旨)
「強く豊かな日本」投資枠を創設し効果のある政策を思い切って実行していく
わが国の潜在成長率は主要先進国と比べ低迷している。技術革新力や労働生産性は遜色なく、圧倒的に不足するのは国内投資であり、その徹底的なてこ入れが必要である。
成長戦略として掲げた 17 の戦略分野と 62 の主要製品・技術に対して官民投資ロードマップを着実に実行すれば、国内投資は 2040 年度までに総額 370 兆円超、 GDP は 1,100 兆円に迫る。それに向けて、概算要求に上限を設けない「強く豊かな日本」投資枠を創設し、真に効果のある政策を思い切って実行していく。
赤澤亮正
経済産業大臣
強い経済の肝はあらゆる産業での AI トランスフォーメーション(AX)である。日本は超高齢社会かつ災害大国とし
て、ヘルスケア・災害対応・廃炉・製造業といった現場データがあふれている。こうしたデータとAIを掛け合わせ、世界に先駆けてフィジカルAIやロボットのデータ基盤を築くことが勝ち筋になる。投資の主役は企業である。デフレ下のコストカット型経営で成長投資は欧米に後れを取ってきた。短期的利益のみを追わず、中長期の視点で積極果敢に投資を進めてほしい。併せて賃上げも必要である。日本は2040 年には生産年齢人口が約 2 割(1,300 万人)減る労働供給制約社会となり、高齢者・女性の就業、外国人の適切な受け入れ、省力化投資で生産性を抜本的に高めなければならない。私は最低賃金 1,500 円の目標など賃上げに取り組んできた。日本銀行のレポートでは最低賃金上昇を受け約 4 割の企業が設備投資による合理化に取り組んだとされ、賃上げは企業行動を変える供給力強化政策そのものである。経済同友会は野武士の集団と認識している。ぜひ、野武士のしぶとさで稼ぐ力の強化と賃上げの好循環を実現してほしい。基調講演(要旨)
半導体からフィジカル AI へ汎用基盤モデルの国産化戦略
経済政策は 1 日にしてならず。高市政権の施策は急に出たものではなく、小泉政権の新自由主義、第二次安倍政権のアベノミクス、岸田政権の新しい資本主義の延長線上にある進化版である。
山際大志郎
衆議院議員
官民投資額の 370 兆円は 17 分野をさらに 62 の製品・技術にブレークダウンし、個社のポテンシャルや投資時期を現場調査で積み上げた結果である。これは最低ラインで、状況によっては倍にも 3 倍にも広がる可能性がある。
AI は計算機インフラ・汎用基盤モデルなど 5 段階の構造があり、全段階を応援しなければ産業として成立しない。
AI・半導体分野には、 2030 年度までの7 年間で10 兆円以上の公的支援を行う。生成 AIのLLMは米国企業に握られているが、ロボットは空間認識がいる。ロボットの基盤モデルを米国に取られれば、製造現場の良質データを吸い上げられるため、政府は汎用基盤モデルの国産化を決断した。領域特化型のAIをフィジカルAIとしてロボットに結び付ける枠組みとしては、すでにGENIACがある。補正予算 3,800 億円から始め、 1 兆数千億円規模のマルチモーダル基盤モデル開発を進める予定である。私はロボット議員連盟の会長として、本年 3 月に政府と共にAIロボティクス戦略を発表した。 2040 年に60 兆円規模となるロボット世界市場で、日本が3 割超(20 兆円)のシェアを獲得することを目標に掲げている。自動車が世界シェア3 分の1を握ることを踏まえれば妥当な水準である。 2040 年に累計 1,000 万台の利用を目指すが、実現には企業がメインプレーヤーであり、リスクを取って前に進んでほしい。 12 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

官民投資370兆円の具体化(13ページ目)
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官民投資370兆円の具体化

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
共助成長社会に向けて経済成長をどう実現するのか。政府の成長戦略を踏まえ、重点分野への官民投資や需要の予見可能性の向上、社会実装に向けた官民の役割分担などについて議論した。
ファシリテーターパネリスト
松江英夫山際大志郎
山口明夫鈴木純
三毛兼承南部智一
副代表幹事経済同友会インスティチュート委員長デロイトトーマツグループエグゼクティブメンバー
衆議院議員
代表幹事日本アイ・ビー・エム代表取締役社長
副代表幹事地経学委員会委員長帝人シニア・アドバイザー
副代表幹事三菱 UFJ 銀行特別顧問
副代表幹事新産業創出委員会委員長成長戦略検討 TF 座長住友商事取締役副会長パネルディスカッション登壇者の発言(抜粋要旨)
松江一日目に山口代表幹事が共助成長社会のビジョンと戦略の柱を語った。各パネリストの立場から成長戦略の課題認識と必要な打ち手をどのように考えるか。
官民投資 370 兆円、 17 分野の戦略をどう具体化するか
鈴木
南部さんと共に内閣府の有識者議員として第 7 期科学技術・イノベーション基本計画(2026 〜 30 年度)の策定にかかわってきた。官民投資の 370 兆円は実は民間から 300 兆円以上を期待するものである。科学技術サイドも 5 年で官 60 兆円・官民計 180 兆円の研究開発投資を想定し、 17 の新興・基盤技術領域を成長戦略の 17 分野に合わせて策定している。もっとも 17 分野はまだ粒度が粗い。成長
戦略投資と危機管理投資(インフラ・食料・エネルギーな
ど)とでは性格が異なり、後者は輸出産業化しなければ一時的なもので終わる。どこが市場となり、どのようにお金になるかという観点で仕分けをする必要がある。
社会実装へのトリアージを提言予定
南部骨太方針と科学技術基本計画は非常に良くできており、産官学が本当の意味で共働できるモーメントが生まれている。ただ 370 兆円のみを独り歩きさせるべきではない。場合によってはもっと資金が必要であり、民間が自分ごととして取り組むことが肝要である。すでに強い産業を磨く分野、需要をつくり民の能力を合わせ将来の不可欠性を確立する分野、シーズはあるが市場が未形成の分野などを、中身・時間軸でトリアージしていかなければ社会実装しない。経済同友会として提言をまとめる方針だ。
官民リスクシェアの「解像度」を上げる三毛単なるマネーではなくリスクマネーが大事である。個人金融資産は2,300 兆円を超え、日本銀行のバランスシートはGDP 比 100%と欧米比でも最も高い。マネーは株式市場に入り日経平均も急伸したが、成長が本当に必要な先へは向かっていない。成長戦略の解像度を上げる鍵は官民のリスクシェアである。勝ち筋のある分野は民が主導し、重要だがまだ勝ち切れていない戦略分野(ロボティクスなど)は官が協調し、成長が見えにくい防災・防衛などインフラ分野は官がより強く後ろ盾となる。こうした仕分けの解像度を上げれば、民間のリスクマネーも流れやすくなる。量子やAIのサイロ化を打破してチームジャパンで山口まず企業自身が優先順位を付け事業構造と投資配分を変えていく企業変革が必要だろう。規制緩和にどこまで踏み込めるか、海外で外貨を稼ぎ日本に還元できるかも問われる。例えば量子や AI は日本中で研究が行われながら連携されず、サイロ化し、国内メーカー間で競争している。競争相手は世界であり、チームジャパンで進めるべきではないか。 370 兆円は民間投資の背中を押すためのものであり、リスクマネーを回しながら優先順位を付けて取り組む必要がある。官と企業・金融機関が一体となった新しい協力体制へ山際投資に回せるマネーが今の日本には不足している。マネーを正しい先へ向かわせるには企業だけでは無理で、金融機関が相当協力し、政策的にもう一段後押しする必要がある。官民の分担は分野ごとに異なりケースバイケースだが、数年前から官も民に寄り添い民も官を使う形に変わってきており、おのずとバランス点が見えてくる。
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長期資金配分と政府調達(14ページ目)
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長期資金配分と政府調達

特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
投資の3 原則「予見性・スケール・不可欠性」南部株主に投資の正当性を説明できるリターンの予見性、長期にスケールし市場を形成できるか、競争環境での不可欠性の三つがなければ、ポートフォリオとして大きな資金を動かせない。これからの産業は入り口で官が需要の確からしさを支援してほしい。当社の場合は投下資本の 5 ~ 6 割を国内に投じており、社会の高齢化や日本独特の総合ヘルスケア事業で磨いたノウハウを海外に持っていくエコシステムを目指している。あるいはその逆もある。そうなるとGDPだけではなく、 GNI 的に成長を捉え世界の中で稼ぐために日本を母艦として確立していきたい。大企業スピンアウトを加速するインセンティブは鈴木共助成長社会は経済同友会の要諦であることを踏まえると、成長だけをドライブすれば格差が広がることに留意すべきだろう。例えば、韓国は選別を徹底し、一部の産業だけが伸びていることから格差が大きい。日本は三方良しでやってきた。その精神の中でも野武士として、アニマル・スピリッツを持って戦わなければならない。勝つためには、勝ち筋が見えない分野にデットでマネーを投下することは避け、官の資金もエクイティ的な長期ファイナンスに変え、海外のリスクマネーも引っ張るべきである。さらに、大企業からのスピンアウトを促進するために、送り出す側にインセンティブを付ければ、新産業に一層お金が入りやすくなる。官民協調投資とプライベートファンドの拡大三毛銀行はこの10 年で持ち合い株を4 兆円減らし、創出した資本を成長分野への出資(ラピダス、アストロスケールなど)に振り向けてきた。ただ銀行が出資すると、バーゼルⅢ規制によってリスクウエート250%が必要となり、例えばROE15%なら100の出資に37.5%のリターンを要するなど投資が難しくなる。そのため、政府と一緒に投資するものはリスクウエート100%でよいのではないか。ここが緩和されれば、銀行でもエクイティを出すことができるようになる。ただし、銀行は健全性維持が重要なことからエクイティでのリスクマネー供給の拡大余地は限定的で、むしろプライベートファンドが鍵である。日本のノンバンク金融仲介(NBFI)はまだ2 ~ 3 割程度と拡大余地がある。
らハードへ戻った今、日本市場は極めて魅力的である。これを PR できれば海外投資も入る。
長期資金配分と政府調達(DARPA 型)の仕組みを南部
例えば科学技術の場合、 R&D の R を担うアカデミアを中心としたキュリオシティドリブンの発想に基づく研究と、Dを担う明確なミッションの下で開発スピードを上げる取り組みとを分けて考える必要がある。また R&D 予算は各省庁や国立研究開発法人ごとでテーマと共にバラバラに手当てされている。これらを横軸で見渡し、各取り組みを将来の産業化につなげ、持続させるグランドデザインの下、各ミッションを束ねる統合司令塔の機能が求められる。 R 側は縛らず長期資金を配分し、 D 側は DARPA* 型で政府が需要を保証する、明確な横軸の仕組みが必要だろう。
*Defense Advanced Research Projects Agency:米国防総省の内部部局である国防高等研究計画局
政府自身の DX も進めてほしい鈴木
第 7 期科学技術・イノベーション基本計画は、「科学の再興」(基礎研究)と「重点化」を対比させ、 R の底辺を広げつつ重要領域はミッションドリブンで一気通貫に資金を入れる考え方である。サッカーが J リーグで裾野を広げ FIFA ランキングを上げたのと同じ発想である。 AI ロボティクスだけで 18 分野あり、省庁もばらばらだ。お金の流れと出口が見える調整・司令機能がそれぞれに必要だろう。政府自身の DX も進めてほしい。
強固な財務体質を活かし「正しきリスクテイク」を三毛
上場会社の無借金企業は 6 割、自己資本比率の中央値は東証上場で 60%と財務体質は極めて強い。裏を返せばレバレッジがかかっていない。金利のある世界では正しくリスクテイクしたものが勝つ。経営者がリスクを取って投資すれば、金融機関は十分に資金を供給できる。
日本独自の気質で柔軟に山口
研究・製造・実装を日本株式会社の中で考えるようになったが、他国なら GAFAM が自前でやることである。米国の猿真似はいらない。日本には日本の成り立ちがあり、土台となる気質は変わらないので、それに基づき柔軟に変えていく姿勢が必要ではないか。
フィジカルAIに日本の勝機山口この30 年でものづくりからサービス・IT へ資金が移り、結果として日本は沈んだが、生成 AIの実装にはフィジカルが不可欠となった。ロボットでは中国が先行する一方、日本にも技術や材料などの蓄積がある。ソフトか 14 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

セッション4 民間セクターによる共助(15ページ目)
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セッション4 民間セクターによる共助

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セッション session
民間セクターによる共助
公助だけでは届きにくい社会課題に対し、企業やNPOなど民間セクターはどのような役割を果たせるのか。セクターを越えた連携による「共助」の可能性や、企業にとっての意義、持続的な広がりに向けた課題について議論した。
ファシリテーターパネリスト
髙島宏平浅野大介
小沼大地井上ゆかり
藤井輝夫
共助資本主義の実現委員会委員長オイシックス代表取締役社長
石川県副知事
新公益連盟共同代表理事クロスフィールズ共同創業者・代表理事
副代表幹事共助資本主義の実現委員会委員長エマージア代表取締役社長
共助資本主義の実現委員会副委員長共助資本主義の実現に向けた大学連合会長東京大学総長
コントリビューター
荒井佑介三島理恵
菊地唯夫大西健丞
程近智
サンカクシャ代表理事
新公益連盟共同代表理事全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長
副代表幹事財政・金融・社会保障委員会委員長ロイヤルホールディングス取締役会長
副代表幹事共助資本主義の実現委員会委員長ピースウィンズ・ジャパン代表理事兼統括責任者
共助資本主義の実現委員会委員長ベイヒルズ代表取締役パネルディスカッション登壇者の発言(抜粋要旨)
共助成長社会のコンセプトは、社会のあり方を形成することと企業の成長を目指すこと
髙島
これまで、共助成長社会の実現に向け、①子ども・若者支援②復興・防災領域で社会課題を解決することを目的とした取り組みと、人材、資金、政策、コミュニティ形成などの仕組みや手法の開発を目的とした取り組みに分けて活動を展開してきた。
子ども・若者領域では、こども食堂への支援とこれまでに支援が行き届いていない若者の支援を目的としたヤング・プレースレス議員連盟設立のきっかけをつくった。復興分野では政府、地方自治体、 NPO 、企業が連携し、能登の課題に対して取り組みを実施した。日本独自の復興支援活動となり、好事例の横展開も可能である。また、 100 社 1 万人のトライセクター人材の輩出を目指し、ソーシャルウェンズデーや大学連合での活動を実施した。
投資家や社会に対して共助の取り組みを普及することを目的としたインパクト会計の普及・啓発、基金の設立準備への取り組み、個人・企業版ふるさと納税の仕組み作りに関する提言を行った。また、コミュニティ形成を目的としたマルチセクター・ダイアローグを開催した。
共助成長社会は分配のあり方に着目した公益資本主義や共感を無形資産として捉える共感資本主義と違い、社会のあり方を形成することと企業の成長を目指すコンセプトである。企業によって事業との関連性に強弱はあるが、社会的インパクトの最大化と企業価値を最大化する目的に相違はない。社会変革を促す上ではスピードとボリュームが重要なため、シリコンバレーの事例を基に共助エコシステムの具体化に向けて検討を進めている。投資家やメディアなど各ステークホルダーとの連携などを整理していきたい。まずはパネリストから、これまでの活動を振り返っていただきたい。企業とソーシャルセクター連携の具体化が進んでいる小沼社会課題の解決に向けた共助の活動で、 3 年の活動を通してさまざまな施策が具体化されてきた。マルチセクター・ダイアローグの開催を通してNPO と企業の顔の見える関係性ができてきており、フィールドビジットなどの機会を通して社会課題の現場の解像度も上げることができた。大学や学生を活動に巻き込む大学連合を設立藤井第 1 回マルチセクター・ダイアローグにて、本気で
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全国でソーシャルセクター連携を(16ページ目)
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全国でソーシャルセクター連携を

社会課題を解決しようとする熱意を感じ、共助成長社会の取り組みを学生に共有したいという思いで参画した。同様に社会課題解決への思いを持つ14 大学が連携し、「共助資本主義の実現に向けた大学連合(SOLVE!)」として活動している。活動の三つの柱のうち、一つは学生の共助教育であり、公益財団法人 Soilとのワークショップやソーシャル・アントレ道場を開催し、共助の事例を学ぶことと併せて、具体的な取り組みの立ち上げを支援している。二つ目はソーシャルウェンズデーで学生が企業人と一緒に共助活動に参加し、貧困世帯の子どもや若者への支援などに取り組むことを計画している。三つ目はソーシャル活動が企業経営に与える影響を研究することにより、企業にソーシャルな活動への参加を促すことを想定している。全国で「ソーシャルセクター連携」の機運を醸成井上企業経営を通じて、ソーシャル活動の重要性を再確認した。就業時間を利用して全社員を巻き込む活動をすることで、従業員の満足度が向上した事例などについて、会員所属企業や各地の経済同友会への普及活動を実施している。共助の本質はセクター間の越境にある浅野震災後の復興に向け、のとマルチセクター・ダイアローグを通じて、政府機関や自治体、企業、地元の若者など、各セクターの100 人以上の傑出した人材が短期間で能登に集結し、プロジェクトが動き出した。セクターを越えた優秀な人材が短期的に集まることができたという点が非常に魅力であった。共助の本質はセクター間を越境し対話をすることでソリューションを創出することだと考える。マルチセクター・ダイアローグにて才能や意欲のある個人が出会い、能登の復興プロジェクトが進んでいる。奥能登国際芸術祭など事例の具体化が進んでいる浅野能登の地理的特性や羽田空港からのアクセスの良さを活かし、レスキューシティ構想の検討を進めている。多くの日本企業が米国のディザスターシティの見学を実施しており、国や関連企業を巻き込んだ検討を実施していく必要がある。また、能登にはミシュランの星付きのレストランを経営するシェフが5 人いる。豊かな食材や景色がある一方、彼ら5人の後に続く若手新進料理人が引き込まれる「引力」がまだ足りない、という課題がある。料理人向けアカデミーの設立や奥能登国際芸術祭の広域開催などの検討が進められている。共助に理解がある教員の確保が必要藤井取り組みを広げる中で、学長の理解は得られる一方、共助に理解のある教員がいなければ具体的な活動につ
ながらない。地域的な広がりを含めて普及活動を継続し、「共助資本主義の実現に向けた大学連合」としては、連携大学数 100 大学を目指して活動している。共助の取り組みをスケールすることが課題井上地域の経済同友会へ普及活動を実施していく中で、スケール感や戦略性がないように感じる。地元民と一体となった復興プロジェクトの推進を浅野共助成長社会の取り組みは各地の優れた人材と出会うきっかけとなり、社会課題の解決からビジネスへと発展していく。能登は現在、復旧フェーズから未来づくりフェーズに移行している中で企業との連携が重要となる。企業からの人材を派遣いただき、学生や地元民と一緒にプロジェクトメイクする仕組みを作っているため、ぜひ参画していただきたい。コントリビューターより社会貢献活動としての復興支援菊地災害発生時に企業として炊き出しや泥やがれきの撤去作業を実施するなど、これまで店舗がある地域に対して復興活動を実施してきた。北陸には店舗がないものの、被災地支援を従業員のエンゲージメント向上にもつながる活動と位置付け、ボランティアを派遣した。のとマルチセクター・ダイアローグでは、「能登の酒を止めるな!」と連携し、ロイヤルホスト全 200 店舗で「北陸フェア」の共同開催を予定している。実現につながった要因は三つある。これまで災害時に社会貢献活動を実施したことで企業風土が醸成されていたこと、決裁権のある経営者自らが復興支援について検討したこと、のとマルチセクター・ダイアローグにてコミットメントを設定したことだ。レスキューシティ構想と災害拠点整備大西米国のディザスターシティを参考にして、能登で企業や政府関係者、子どもの防災理解促進に寄与するものとなるレスキューシティの設立に向けて検討を続けている。また、コンテナハウスを活用した災害拠点の整備やUS‐2 飛行艇を活用した消防用飛行艇の実装などを検討している。
1 万 2,000カ所でこども食堂の取り組みを実施三島現在 1 万 2,000カ所でこども食堂を実施している。地域住民が主体となり、自立分散型ネットワークを形成し年間 2,500 万人が参加している。単なる食事提供のみならず、多世代交流による地域コミュニティの強化とセーフティーネットの役割、フードロスや循環社会の形成を担っ 16 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

企業はコレクティブインパクトを(17ページ目)
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企業はコレクティブインパクトを

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
ており、共助成長社会の実践的なエコシステムとなっている。経済同友会より64 社から6.2 億円相当の支援をいただくことができた。物資支援の減少や物価高騰、助成金の不足といった課題があるが、今後も地域基盤形成に注力していきたい。ヤング・プレースレス議員連盟の立ち上げにつながる荒井サンカクシャでは暴力や借金の経験などで親を頼ることができない15 ~ 25 歳の若者向けにサポートを実施している。そういった若者の16.2%が闇バイトなどのグレーな仕事を経験しており、行政にも相談しない傾向がある。サンカクシャでは安心・意欲・自信を段階的に取り戻す取り組みを実施している。また、経済同友会での会合を契機に、超党派ヤング・プレースレス議員連盟の立ち上げにつなげ
ることができた。制度のみで解決できる課題でないため、今後も民間企業との連携による助成プログラム、シンクタンクやNPO 連携を促進する中間支援を実施していきたい。企業はコレクティブインパクトを創出するために程企業として企業価値を最大化していく使命がある中で、子どもの貧困や格差、環境問題などの社会課題を解決しながら企業活動をしていくことが求められる。それぞれの企業がどの分野に注力するべきなのかは、企業のパーパスにより決定される。企業はコレクティブインパクトを創出する一員となるべく、経営戦略とCSR 活動を両立していかなければならず、各地の経済同友会も含めた普及活動を実施している。社会価値創造活動に経営者自らが参加し戦略を立てることと、個人としても活動することが重要である。
フロアとの意見交換
NPOの価値はソーシャルR&Dにある近年、企業の方々にNPOの価値を説明する際にはソーシャル R&D という言葉を使っている。社会課題の解決は中長期的には企業にとってもプラスだが、短期的には経済合理性を見いだすことができない場合が多い。そうした困難な社会課題の最前線にR&D 的に取り組み解決策を模索しているのがNPOだ。こうした社会全体のR&D 活動には、企業からの投資や寄付といった支援が必要だと考える。ソーシャルバリューチェーンの構築も重要ソーシャルR&Dについて、ソーシャルバリューチェーンをどのように形成していくかが重要であると考える。成長戦略の文脈の中でNPOが課題を深掘りし、企業がテクノロジーや人材を提供できるようなプラットフォームを形成し、プラットフォームと接続する機能を担えるとスケールすると感じた。テクノロジーを活用しソーシャルバリューチェーンの構築
250 近い団体が加盟する新公益連盟ではさまざまな社会課題にそれぞれ対応する団体があり、各団体の声や実践をまとめていくことが重要である。だが、資金不足を理由に実施することができていなかった。 AIの進歩により多く
の声を低コストで拾える期待感があるため、引き続き投資や活用方法について検討する。経済同友会とインパクトスタートアップ協会が連携し、ソーシャルバリューチェーンの検討ができるとよいと感じた。
テクノロジーによって非営利事業がビジネスへと昇華する事例がある
有機農業事業では非営利団体と連携し、インターネットによってビジネスにつなげることができた。テクノロジーによって、非営利事業がビジネスへと昇華するケースやこれまで非営利団体も活動していない分野の検討が加速するケースがある。
「共助人材マッチング」で共助の取り組みをスケールする
企業が地方においてソーシャル R&D を実践するにあたり、企業版ふるさと納税の人材派遣型を活用することができる。企業が地域の NPO へ人材派遣を実施する場合、人件費やプロジェクト費が大幅に税控除される。これを活用した「共助人材マッチング」をこれから積極的に展開したい。
ソーシャルセクターとの連携が人材育成にもつながる
人材派遣により、複数のソーシャルセクターと連携することで人材育成につながると期待している。
企業は地域との同化や地域住民の雇用が重要企業として地域と同化していくことや地域住民の雇用が重要である。例えば能登にデジタルセンターを設立し、各企業が講師を派遣しながら、地元住民を雇用するといった取り組みや、ウェブサイト構築や販売支援ができる人材を派遣するなどリスキリングを伴う人材派遣が重要である。
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セッション5 社会の安定と政府の役割(18ページ目)
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セッション5 社会の安定と政府の役割

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セッション session
社会の安定と政府の役割
2040 年の社会像を踏まえて、社会保障・社会福祉のあり方をどのように転換するか。成長に伴う痛みに対し、制度としてどのような受け皿を設けるか。導入(抜粋要旨)
ファシリテーター問題提起
生活防衛とセーフティネット構築 2040 年を見据えた「社会保障・社会福祉」のあり方
菊地「共助成長社会」の実現に向けた「七本の懸け橋」のうち、緊急性が高く、今後の成長を考える上で基盤となる「生活防衛とセーフティネット構築」をテーマに議論を進める。これまでのセッションでは、 2040 年に一人当たり名目 GDP を倍増させるという目標の実現に向け、さまざまな成長戦略が議論された。しかし、その果実を得られない国民が生じ、成長の結果として格差が拡大する可能性がある。本セッションでは、このような課題に対してどのような政策対応が求められるのか、 2040 年を見据えた「社会保障・社会福祉」のあり方を議論したい。社会保障国民会議の中間とりまとめ案では、来年 4 月に飲食料品にかかる消費税率を1%に引き下げ、同年秋に1%相当分を活用して「所得に連動したきめ細かな給付」を先行導入し、その後 29 年4月に消費税率を元に戻し、同年秋に「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入す
菊地唯夫
副代表幹事財政・金融・社会保障委員会委員長ロイヤルホールディングス取締役会長
ることとされている。
土居丈朗
慶応義塾大学経済学部教授
今後はこの議論の過程で明らかになった課題について、財源の確保も含め、継続して検討することとされている。
社会保障制度の課題としては、給付付き税額控除と年金制度や生活保護などの既存制度との関係の整理、第 3 号被保険者制度の見直しや被用者保険の適用拡大による就労促進、こども未来戦略の推進、医療・介護制度改革をはじめとする社会保障・雇用の各制度の見直しが挙げられている。
税制の課題としては、人的控除のあり方の見直しを含む、所得税の抜本的な改革が挙げられている。問題提起(要旨)
団塊ジュニア世代が 65 歳以上となり、年金給付が増加 15 ~ 64 歳人口は大きく減少、負担増も懸念
土居 2040 年はわが国の社会保障にとって重要な節目である。団塊ジュニア世代が 65 歳以上となり、年金給付が増加するとともに、その後の医療・介護費の一層の増大が見込まれる。この世代には非正規雇用が長かった人や未婚者も多く、高齢世代内の所得格差が拡大する可能性がある。一方、 15 〜 64 歳人口は大きく減少し、現役世代一人当たりの負担増も懸念される。
内閣府の長期推計では、経済成長について「過去投影」「成長移行」「高成長実現」の三つのシナリオが示されている。名目成長率が 1%弱にとどまる過去投影シナリオでは、医療・介護給付費の対 GDP 比は 2019 年度の 8.2%から 40 年度には 10%を超える。一方、3%前後の成長が実現すれば、 GDP の拡大によって対 GDP 比は 9%前後に抑えられる。ただし、これは現在と同程度の給付水準を維持す
る前提であり、高額医薬品など医療の高度化を進めれば、対 GDP 比 0.4 〜 0.5%程度の追加負担がさらに必要となる。
経済成長だけで財源問題が解決するわけではない。成長による税収の自然増を織り込んでも、 40 年度には過去投影シナリオで 1.1%、成長移行で 0.6%、高成長実現でも 0.3%の税財源が不足する。金額に換算すると成長移行シナリオの場合の 0.6%は約 6 兆円である。赤字国債への依存を続けるのか、新たな税財源を確保するのかが問われる。
社会保険料のあり方を深く議論する必要性人材不足が深刻化する可能性もある
財源として所得税と消費税を比べると、所得税は格差是正に適する一方、現役世代に負担が集中し、景気変動の影響も受けやすい。消費税は累進性を持たないが、世代を問わず広く負担を求められ、景気の影響を受けにくい。同じ税収を確保する場合、経済理論上は貯蓄の二重課税が生じない消費税の方が成長率を下げにくいとされる。 18 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

処遇改善に向けた財源確保(19ページ目)
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処遇改善に向けた財源確保

2026 夏季セミナー特集1 2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー
家計負担では消費税より社会保険料の方が重い。大まかなイメージでいえば、課税前収入に対し、所得税・住民税が平均5%、社会保険料が平均 15%程度であるのに対し、可処分所得をすべて消費に回したとしても、消費税負担はたかだか8%程度である。実際、最も所得が低い層でも年間の社会保険料負担は40.4 万円、消費税負担は14.7 万円にとどまる。負担軽減を考える際には、消費税だけでなく社会保険料のあり方を深く議論する必要がある。医療・介護では、自己負担の低い高齢者が増えるほど保
険料や税による給付財源が必要となる。また、財源以上に人材不足が深刻化する可能性もある。 40 年度には介護職員が約 272 万人必要とされ、 22 年度比で約 57 万人の増員が求められる。さらに、医療・介護従事者のうち給与が全産業平均を下回る主要職種の賃金を平均水準まで引き上げるには、年間約3兆円の追加原資が必要となる。これは消費税率換算で1%弱の規模である。この負担を重いとみるのか、制度維持に必要な負担とみるのかが、 40 年に向けた重要な選択となる。
意見交換
処遇改善に向けた財源確保は不可欠医療制度自体にも課題がある
医療・介護は経済成長を支える基盤であるとともに、家族・地域・企業が共助を実践する場でもある。しかし、地方を中心に人材不足が深刻化しており、このままでは将来、サービスの継続が困難になりかねない。処遇改善に向けた財源確保は不可欠である一方、医療制度自体にも課題がある。出来高払い制の下では成果や創意工夫、テクノロジーの導入に対するインセンティブが十分に働いていない。その上で、土居教授に 3 点伺いたい。①現役世代の大きな負担となっている社会保険料率に上限を設けるべきではないか。②どのような政治的な条件が整えば、消費税率を引き上げられると考えるか。③社会保険料も消費税も引き上げられない場合、どのように財源を確保すべきか。
出来高払いのままでは医療機関の経営が難しくなる土居
①の社会保険料率に上限を設けるには給付総額の抑制が必要となるが、医療界からの強い反対が予想され、政治的な実現は難しい。まずは一回の入院ごとに一定額を支払う包括払い化を進めることが現実的ではないか。患者数が減少する地域では、出来高払いのままでは医療機関の経営が難しくなるため、担当した患者数に応じた包括払いなど、以前よりも導入に向けた議論を進めやすくなっている。
②の消費税率の引き上げは、 2012 年の三党合意のように、他の財源と比べれば消費税の方が望ましいと判断する政治勢力が形成される局面がいずれ訪れるのではないか。
③の財源不足よりも先に、人材不足が医療・介護サービスの制約となる可能性が高い。財源を確保できても、担い手がいなければサービスを提供することはできない。
円から年間 20 万円を給付し、 250 万円から逓減、 300 万円で消失させる案を示し、必要財源を約 2.8 兆円と試算している。一方、社会保障国民会議の中間とりまとめ案では、勤労性所得に応じて給付額を増やし、一定額を給付した後、総所得の増加に応じて逓減・消失させる台形型の制度が示されている。しかし、給付を開始・終了する所得水準や満額給付額、必要財源など、具体的な制度設計にはなお課題が残る。こうした点について、どのような課題を感じているか。
セーフティネットであることを説明して国民の理解を得る
土居制度の必要性が十分に分かりやすく説明されていないことが課題である。就職氷河期世代を念頭に年金、生活保護、児童手当など既存の社会保障給付の対象からこぼれ落ちている低所得の現役勤労者を支える新たなセーフティネットである、と説明すれば、多くの国民の理解を得られるのではないか。
東京財団案は年収 130 万円から給付を開始するため、強い就労インセンティブとなる一方、事情によりその水準まで働けない人への配慮に欠け、一定水準までの就労を強いる制度と受け止められる恐れがある。所得の増加に応じて給付額を逓増させる経済同友会案は、こうした人にも配慮した設計となっている。
新たなセーフティネットとしての給付付き税額控除菊地
土居教授も提言に参加した東京財団は、年収 130 万
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共助資本主義 第6回マルチセクター・ダイアローグ(20ページ目)
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共助資本主義 第6回マルチセクター・ダイアローグ

共助資本主義第 6 回マルチセクター・ダイアローグ特集 2 共助成長社会で取り組むこれから【前編】
共助資本主義の実現委員会は7 月1日、インパクトスタートアップ協会および新公益連盟と共催で「共助資本主義第 6 回マルチセクター・ダイアローグ」を開催した。本イベントは企業・ NPO・インパクトスタートアップ・大学など多様なセクターの関係者が一堂に会し、世代や立場を超えた対話を通じて社会課題の解決に向けた具体的なアクションを探る場として実施している。今回は約 400 人が参加してこれまでの具体的な取り組みを共有し、パネルディスカッションと七つのテーマ別に対話・議論を行った。(所属・役職は開催時)
共助資本主義の実現委員会では2022 年度に新しい経済社会委員会が提言した「共助資本主義」の実現を目指し活動を展開している。 23 年 7 月には企業とソーシャルセクターが連携し、国内外の社会課題を解決することを目的として「インパクトスタートアップ協会、新公益連盟及び経済同友会の協働に関する連携協定」を締結した。以降、これまでに 5 回のマルチセクター・ダイアローグを開催し、社会課題解決に関するさまざまなイニシアティブに取り組んでいる。
オープニングトーク(要旨)
多様なセクターとの連携を一層深めていく
髙島宏平共助資本主義の実現委員会委員長
開会挨拶(要旨)
共助と成長の好循環で一人ひとりの活躍の舞台をつくる
山口明夫経済同友会代表幹事
この3 年間、具体的なテーマへの注力と横断的な仕組み作りの両輪で取り組んできた。子ども・若者支援では、経済同友会会員所属企業と連携し、こども食堂への寄付を累計 6 億〜 7 億円相当の規模まで拡大した。また、若者支援団体サンカクシャとの対話を契機に超党派のヤング・プレースレス議員連盟が発足し、 18 〜 25 歳の若者支援に本格的に取り組む体制が整った。能登では大規模カンファレンスを開催し、レスキューシティやコンテナハウスによる起業支援など具体的なプロジェクトが進展した。さらに、広域芸術祭の計画も復興の象徴として進んでいる。横断的な取り組みでは、ソーシャルウェンズデーを通じて企業による社員の社会貢献活動を後押ししたほか、東京大学、上智大学など14 大学で構成する大学連合による学生向けプログラムも展開した。さらに、インパクト会計事例集や企業版・個人版ふるさと納税制度の提言も進め、本年度からは基金の設立に向けた準備を進めている。今後はこれらを日本社会の仕組みに組み込み、企業価値と社会インパクトを両輪とする「共助成長社会」の実現に向けて、多様なセクターとの連携を一層深めていく。
代表幹事就任にあたり私が掲げたスローガンは「共助成長社会の実現」である。一人ひとりに居場所と活躍できる舞台が存在し、自分が必要とされて感謝され、自分も感謝する相手がいる。そういった社会を実現したい。経済成長はその実現のための必要条件である。過去 30 年間で企業利益は5 倍の110 兆円になり、内部留保は638 兆円、自社株買いも25 兆円近くになった。しかし、稼いだお金の多くは海外投資に向けられ、国内投資は減価償却分の追加にとどまっている。この状況を打破し、国内にも目を向けて投資し、経済成長を実現したい。しかし、経済成長だけでは人は幸せにならない。十分条件は「共助」だ。困っている人には手を差し伸べ、困っているときには助けていただく。課題を共に解決する素地があってこそ、目指す社会を実現することができると考え、「共助成長社会」という言葉を定義した。経済同友会として共助の活動に取り組むことを誇りに思っている。これからも皆さまと一緒に活動を加速し、範囲を広げていきたい。 20 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

共助成長社会で取り組むこれから(21ページ目)
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共助成長社会で取り組むこれから

パネルディスカッション(発言要旨)
共助成長社会で取り組むこれから
3年間の取り組みの振り返りと「能登の復興支援」「企業版ふるさと納税を活用した人材派遣」の事例が紹介された。
モデレーターパネリスト
髙島宏平友納理緒
米良はるか小沼大地
藤井輝夫山口明夫
共助資本主義の実現委員会委員長オイシックス代表取締役社長
参議院議員ヤング・プレースレス議員連盟共同事務局長
インパクトスタートアップ協会代表理事 READYFOR 代表取締役 CEO
新公益連盟共同代表理事クロスフィールズ共同創業者・代表理事
共助資本主義の実現委員会副委員長共助資本主義の実現に向けた大学連合会長東京大学総長
経済同友会代表幹事日本アイ・ビー・エム代表取締役社長
ピッチ登壇者
藤沢烈浅野大介
大西健丞妹川久人
RCF 代表理事石川県副知事
経済同友会副代表幹事共助資本主義の実現委員会委員長ピースウィンズ・ジャパン代表理事兼統括責任者
共助資本主義の実現委員会副委員長日本たばこ産業執行役員
3 年間の振り返りと成果髙島まず、共に活動してきた皆さまにこの3年間の総括をいただきたい。小沼この3年間で経済界とNPOのメンバーとがお互いに顔の見える仲間になれたことが大きな成果だ。3年前は「どうサポートすればいいですか」という支援する・される関係だったが、今は「一緒に何をやろうか」という対話に変わった。そんな中、社会情勢は変化している。サステナビリティへの追い風が止まり、企業が二つに割れている。一つは看板を下ろす企業、もう一つは風向きに関係なく本質的に重要と感じ続ける企業である。経済同友会は後者であると山口代表幹事から発言いただき、非常にうれしい。米良共助資本主義という枠組み自体が素晴らしいと感じ
たいじ
ている。社会課題に対峙したとき、政治に依存する声が多
い中、民間が協力し合って解決していくことに意味がある。今回、山口代表幹事が「成長」をキーワードに入れたことが象徴的だ。インパクトスタートアップ協会では経済成長を実現しながら社会課題の解決を進めるため、これからもさまざまなアクションを起こしていきたいと考えている。
藤井第 1 回マルチセクター・ダイアローグで、学生と共助の活動をつなぐことを宣言した。大学連合は上智大学前学長の曄道佳明氏と共に立ち上げ、昨年2月に13 大学でスタートし、現在では14 大学が加盟している。この1年間で延べ500 人の学生が大学連合が主催する活動に参加し、本日も学生がボランティアスタッフとして参加している。今後は地域的な広がりを目指し、大阪大学の堂目卓生氏と上智大学の杉村美紀氏に副会長に就任いただいた。3年間の計画で加盟する大学を100 校まで増やすことを目標としている。能登復興支援藤沢復興に向けた共助を推進する組織である能登官民連携復興センターで責任者を務めている。本日もさまざまなご提案をいただいて議論を深め、それを実行していきたい。まずは浅野副知事から、復興の現状とこれからについて話をしていただく。浅野「のとマルチセクター・ダイアローグ」はこれまで4回開催し、実際に10 以上のプロジェクトが生まれている。復旧におおよその見込みが立ってきた中で、次に復興のフェーズに進みたい。地元と関係人口の方々が一緒になっ
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のとマルチセクター・ダイアローグ(22ページ目)
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のとマルチセクター・ダイアローグ

左から妹川共助資本主義の実現委員会副委員長、大西副代表幹事左から浅野大介氏、藤沢烈氏
て楽しい能登をつくっていきたい。
のとマルチセクター・ダイアローグの取り組みが私たちにとっては大きな価値になっている。例えば、これまで能登半島先端部の珠洲市で開催してきた奥能登国際芸術祭を、半島全体へ広域展開してはどうかと議論している。加えて、「食」を目的に訪れる人たちやトレイル、サイクリング、研修などをどう組み合わせるか、さまざまな観点で議論を進めてきた。地方が抱える社会課題に対し、多様なアイデアが生まれており、それらを具体的な形にしていく段階に来ている。ただ、多様なセクターが同じ言葉を使いながら、実は意味していることが異なることがある。復旧・復興の現場でも同様のすれ違いが起きている。のとマルチセクター・ダイアローグでは、それらを解消しながら、同じ目標を実現するために異なる力を持った人たちが結び付いて新たなアイデアが出てくる。そのような場として期待している。
また、経済同友会会員の所属企業の皆さまに寄付をいた
だき、空港の敷地内に「 I DO NOTO BASE 」を建設した。ここは起業の準備をする人などの長期滞在施設としてスタートしている。
のとマルチセクター・ダイアローグを通じて、能登をより楽しい地域へと発展させ、定住人口や関係人口を増やしていく。皆さまと共にプロジェクトに取り組んでいきたい。
企業版ふるさと納税を活用した「人と資金」の仕組み
大西
地方や NPO に足りないものは人と資金である。「共助人材マッチング」は企業版ふるさと納税の人材派遣型を活用する仕組みだ。企業は出向者の人件費を含む事業費に企業版ふるさと納税による寄付を充てることで、当該経費の最大約9割に相当する法人関係税の軽減を受けることができる。 PL への影響を抑えながら資金と人材の双方を提供し、地域や NPO の課題解決を後押しできる仕組みである。いくつかの企業には本制度を活用した人材派遣に名乗りを挙げていただいている。優れた人材を地方の NPO に派遣
し、地方創生を後押ししていきたい。地域が資金と人材の双方を得られる点で非常に画期的な仕組みであり、さらに広げていきたい。妹川このスキームで重要なことは、出向という形であっても派遣された社員が当事者として、自らの名前と責任で仕事に取り組む環境に身を置くことである。これからは一定の経験を重ねた世代も、これまでの常識や働き方をいったん手放し、学び直すことが求められる。そうした問題意識に応えるものがこのスキームである。企業側の視点に立てば、人材育成にもつながる仕掛けともいえる。企業にはこの仕組みをうまく活用してほしい。小沼 AI 時代の到来で業務環境が激変し、企業には新たな活躍の舞台を求める人材の数も増えていくはずだ。この仕組みを活用して地方の NPO で働きながらリスキリングする機会を提供できれば、大きなインパクト創出につなげられると考える。
共助の取り組みを生むエコシステム構築取り組みをスケールする人材と資金の仕組み作り
髙島各イニシアティブの下で多くの取り組みが進んでいる。これらを踏まえて、感想をいただきたい。友納
自助・公助には限界があり、共助を進めていくためにはプラットフォーム作りが重要だ。ただ、つながりをつくることは困難を伴う。社会課題の解決には、 NPO だけでなく企業、金融機関、自治体、大学など多様な主体がそれぞれの強みを持ち寄るエコシステムの構築が重要だ。一方、 NPO の活動や社会的価値が十分に伝わらず、連携や資金につながりにくい現状もある。対話の機会を増やし、互いの活動やニーズを見える化することで、新たなつながりを生み出していく必要がある。
国としては、皆さまが最大限力を発揮していただけるようなルールを作り、規制を取り払うことが求められている。予算措置にとどまらず、現場の取り組みを妨げる制度や規制があれば、規制改革の提言などを通じて解消していくことが重要である。 22 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

共助の領域とテクノロジー(23ページ目)
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共助の領域とテクノロジー

特集 2 共助資本主義第 6 回マルチセクター・ダイアローグ
髙島大変心強い言葉をいただいた。山口代表幹事の4年間の任期の中で、私たちが今後何を成し遂げていくのか。エコシステムやプラットフォームの構築、ルールの見直しなどさまざまあるが、今後のコミットメントを伺いたい。小沼この場がプラットフォームとなってつながりや関係性を構築したことで成功事例も出てきているが、まだまだ足りない。質・量の両面から共助の取り組みを創出していくことが何より大事だろう。企業版ふるさと納税を活用した共助人材マッチングのようなスキームを作り、それを使って共助の取り組みを増やしていく。この4年間で連携を創出するスキームを 10 個は作りたい。髙島政府へのリクエストはあるか。小沼
2年後には NPO 法の成立から 30 年という節目を迎える。その間にも時代は大きく変わり、震災も何度か経験したことで制度を見直す時機ともいえるだろう。寄付税制の観点では、認定 NPO 法人の認定要件を緩和することや、お金をどう回していくのか、国と一緒に考えていきたい。
子どもの支援と地域との連携共助領域へのテクノロジーの活用
米良
昨今の AI の台頭に伴い、働くということの意味が大きく変わっていく。テクノロジーが与える社会の変化はさらに大きくなっていく。インパクトスタートアップ協会には、テクノロジーをベースにイノベーションを起こすスタートアップ企業が多く所属し、当協会としては成長を実現しながら皆さんと一緒に社会をより良くしていきたい。
山口代表幹事に伺いたいのは、このプラットフォームにおける具体的なプロジェクトで、どのようなものが生まれてくるとマルチセクターの連携や共助資本主義がさらに進むとお考えか。山口
実は3年前まで、マルチセクター連携、新公益連盟、インパクトスタートアップ協会などという言葉を聞いて、十分理解できていなかった。しかし、フィールドビジットを通じてこども食堂や若者支援の現場に伺うと、社会を良くしていきたいという思いに共感した人たちの集まりだと強く感じた。この共感を広げる活動には非常に意義があり、社会につながると実感している。この3年で私の中で大きな変化があった。
プラットフォームについては、一番気がかりなのが子どもだ。自分の力だけでは何もできない、ご飯を食べられていない、虐待を受けている子どもたちがいる。ここにいる大人が手を差し伸べて解決する活動をやりたいと思っている。また、地方で一人暮らしをしている高齢者をみんなでケアできる仕組みにももっと取り組んでいきたいと考えている。髙島共助の領域とテクノロジーは非常に相性が良いと感
じている。だが、現場ではDXがほとんど進んでいないため、困っている人を探し出すことから始めなければならない。 NPOのバックオフィスも手作業が多く、生産性に大きな改善の余地がある。経済同友会として、この分野の技術を使って社会をつくることを具体化できないだろうか。山口バックオフィスの事務効率化やネットワーク作り、データ共有は難しい話ではないと思う。ただし、テクノロジーは単なる道具であり、何を解決したいかをしっかり共有してから活用することが重要だ。髙島先ほどの共助人材マッチングでいえば、エンジニアが出向くことが効果的なのではないか。藤井2点ある。まず、テクノロジーが発展している中だからこそ、学生が実際に現場に赴いて困っている人がいることに気付き、どのようなケアをすべきか考えていく、そういった学びの機会が非常に重要だ。次に、産業界と大学とが接する面をもっと広げていくことが大事だと考えている。また、全都道府県に大学があることを活かし、地域・地方との連携も進めていきたい。地方自治体、地方の金融機関、地方の大学が連携をする「ローカル共助」というテーマが浮かんだ。友納 NPOは社会課題に最も近く接する立場にあり、課題を深く把握している。 NPO 法もそうだが、公益法人法を改正するなど法律も時代に応じて変える必要がある。地方自治体には司令塔になっていただき、企業には資源や機会を提供していただく。スタートアップには AI やデジタルなど新しい仕組みを入れていただく。大学にはエビデンスづくりをしていただく。こうした皆さんが集まることに大きな意義があると考える。私たちはその土台を支えていきたい。
***
この後七つのテーマに分かれてブレイクアウトセッションを行った。次号後編ではそのダイジェストを紹介する。
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雇用型自律労働契約の導入を(24ページ目)
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雇用型自律労働契約の導入を

提言概要
(7 月 10 日発表)
経済成長と多様な個人の活躍を支える「雇用型自律労働契約」の導入を
~労働法制の令和モデルへの見直し~【改訂版】
人材活性化委員会(2025 年度)
委員長峰岸真澄
人材活性化委員会は昨年度、労働時間にとらわれず、働く個人の自律性と契約内容の柔軟性を最大限に尊重する新たな雇用契約である「雇用型自律労働契約」の導入を提言した *。その後、 AIの急速な普及・進展により業務内容・仕事の進め方や組織のあり方・求められるスキルは不可逆的に変化し、 AIを高度に使いこなし突出した成果を創出する新たなハイパフォーマー(AIトップ人材)が出現している。本改訂版はこうした AI 時代の構造的変化を踏まえて昨年度の原提言をアップデートし、政府に対し「雇用型自律労働契約」の早期の制度化を求めるものである。■はじめに AIが変える仕事・人材・組織提言はまず、 AIがもたらす働き方の構造的変化を確認する。企画・開発系の業務では、調査・分析やコード作成の相当部分をAIが担い、人間の役割は要件定義、責任の引き受け、倫理的判断、 PDCAの司令塔へと移りつつある。組織では中間管理職が減り、少人数の機動的なチームへのフラット化が進む。こうした中で、わずか数人で多数のAIエージェントを自律的に束ね、一つの企業に匹敵するアウトカムを創出する「 AIトップ人材」が出現している。このようなAIトップ人材は特定の組織への依存度が低く、その獲得競争はグローバルに激化している。一律の労働時間管理、年功的な処遇、画一的な契約という従来型の前提に縛り付ければ、
能力発揮を阻害するのみならず、人材の海外流出を招きかねない――これが提言の出発点にある危機感である。現行労働法制の構造的課題現行の労働法制は、労働時間管理を基軸として労働者を集団的・画一的に保護している。裁量労働制や高度プロフェッショナル制度により部分的な柔軟化が図られてきたが、いずれも対象業務を法令上あらかじめ限定列挙する構造を取る。業務内容それ自体が急速に流動化するAI 時代に、この枠組みは本質的になじまない。成果が投下時間の長さではなく、課題設定の質、専門性、創造性、 AIを適切に活用する能力に左右される時代にあって、求められるのは現行制度の部分的な修正や緩和ではなく、 AI 時代に適合した新たな制度的基盤の整備である。
Ⅰ
提言の核心――「雇用型自律労働契約」とは
提言が求めるのは、従来型の雇用契約を維持しつつ、それと複線的に、新たな雇用契約の類型である「雇用型自律労働契約」を創設することである。これは成果に対する報酬を基本とし、労働時間の制約を受けず、働き手の自律性と契約内容の柔軟性を最大限に尊重する雇用契約であり、以下の三つの原則を特徴とする。①自律的な時間管理労働時間の使い方を個人の裁量に委ねる。②個別契約画一的な雇用契約ではなく、個々人に応じた契約とする。③成果報酬創出したアウトカムに報酬を直結させ、突出した成果に大幅に報いる。
対象となるのは、時間と成果が必ずしも比例しない業務に従事するホワイトカラーのうち、自律的に働く意思と能力を有し、イノベーションを担う意欲ある人材であり、全ての労働者を対象とするものではない。まずはAI 時代に必要なスキルを備え突出したアウトカムを生み出す層や、それを目指して自己成長のために働きたい層に新たな働き方の選択肢として「雇用型自律労働契約」を提示し、段階的に対象を拡大していくことを想定している。また、意図するのは短い時間で高い付加価値を生み出す生産性の高い働き方であって、長時間労働の推奨ではない。重要なのは、あくまで「雇用」契約である点だ。自律的な働き方を志向する人材が雇用の外へ流出すれば、企業は
*『経済成長と多様な個人の活躍を支える「雇用型自律労働契約」の導入を~労働法制の令和モデルへの見直し~』(2025 年 5 月 22 日発表の原提言) 24 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

健康確保と濫用防止(25ページ目)
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健康確保と濫用防止

CLOSE-UP 提言
中長期の能力開発投資を行いにくくなる。雇用の枠内で高い自律性を認めることは、働く個人と企業の双方にとって合理的な選択肢となる。法制度としては、労働基準法の適用を除外した上で特別法(仮称)を新たに制定し、引き続き確保すべき保護を自律的な働き方に適合する形で再定義するとともに、労働契約法や労働安全衛生法の関連規定の見直しを求めている。健康確保と濫用防止――制度設計の二つの柱制度設計の柱は二つある。第一に、 AI 時代にふさわしい健康確保措置への転換である。使用者による画一的な労働時間管理に代えて、個人が自らの心身の状態を継続的に把握・管理することを基本とし、企業には定期健康診断に加え、人間ドックの受診支援、医師との面談機会、ウエア
Ⅱ企業に求められる人材マネジメントの転換
ラブル端末や健康管理アプリの提供、 AIを活用したストレス検知など、個人の健康管理を支える措置を義務付ける。第二に、濫用防止措置である。契約は随時撤回可能な本人同意に基づく個別労働契約とし、使用者には書面と面談による十分な説明義務と、1週間程度の熟慮期間の確保義務を課す。締結後も理由を問わず同意を撤回して通常の雇用契約に戻ることができ、同意しないことや撤回を理由とする不利益取扱いは禁止する。違反には罰則を設ける。さらに、制度導入に当たっては、個別契約の締結に先立ち、過半数労働組合との合意または労使委員会の決議により、対象業務、対象者の範囲、健康確保支援措置、同意取得・撤回の手続などを定めることを推奨している。
本制度は法制度の整備だけで機能するものではない。提言は活用する企業の側にも業務量の適切なマネジメント、ジョブディスクリプションによる職務・権限・成果の明確化、対象者の適格性の見極め、公正で納得性の高い評価・処遇、上司による支援を一体として構築することを求めている。報酬は生活の安定を支える基本報酬と成果連動報酬を適切に組み合わせることを基本とする。管理職には指揮命令や監督を中心とする役割から、定期的な対話とフィードバックを通じた個人の活躍の支援を中心とするマネジメントへの転換が求められる。三つの「雇用型自律労働契約」の導入モデル改訂版では「雇用型自律労働契約」の制度化を見据えて、企業の実務に落とし込んだ三つの導入モデルを示している。●日系大企業・高度専門人材の採用競争力強化と意欲ある社員の離職防止のため導入し、 AI 時代にふさわしい時間・場所に縛られない働き方を通じてエンゲージメントと組織の課題解決能力を高め、持続的な企業価値向上に直結させる。・対象者は財務、新規事業開発、経営企画などのコーポレート部門の高度専門職のうち管理監督者ではない担当者層・専門職層(概ね1,000 万~ 1,500 万円の報酬水準の層を想定)を対象に、パイロット導入から3 年程度での全社展開を描く。・成果に応じて基本年俸の3 割以上の変動を可能とする報
酬体系、評価者トレーニング、ウエアラブル端末などによる健康データのモニタリングを組み込み、個人のみならずチーム全体の生産性や健康状態の指標を確認しながら段階的に拡大する。
●スタートアップ・将来の起業家・経営者を志向し、自律的な働き方とさらなる成長機会を求めるハイパフォーマー層のリテンションと、業務委託で働く高度専門人材の雇用のために導入し、 AIトップ人材などのさらなる活躍と組織のイノベーション創出能力の強化を図る。・対象者は職種・職位は問わず、起業志向を持ちつつ社内で挑戦したい人材、および1 年以上の協働実績がある業務委託者で深いコミットメントを希望する者とする。●中堅企業(裁量労働制からの移行)
・裁量労働制の枠組みを超えた選択肢として、より高度な自律性・自己管理能力を有する人材を時間的制約から解放し、 AI 活用などによるアウトプット最大化と当該人材のさらなる活躍を実現するために導入する。・対象者は裁量労働制の適用を1年以上受け、直近の評価で安定した成果を収めていることを要件とし、産業医の関与や月2回以上の1on1の実施など、丁寧な選定・運用プロセスを提示する。いずれのモデルも本人の希望制と撤回権の保証、成果評価の透明性、実効的な健康確保措置を共通の土台としている。
■おわりに本提言は現行の労働時間規制の枠組みの緩和を求めるものではなく、新たな雇用契約類型の創設を求めるものである。制度が個人の活躍を支え、個人の活躍が経済成長をけん引する――そうした好循環の実現に向けて、提言は
「雇用型自律労働契約」の速やかな制度化を政府に求めている。
提言本文はコチラ
(参考)原提言
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つながる RELAY TALK #320(26ページ目)
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つながる RELAY TALK #320

経済同友会つながる
▲▲▲ RELAY TALK #320
紹介者高乗正行
マター・ベンチャー・パートナーズ Operating Partner 兼日本代表
植村幸祐
双日代表取締役社長 CEO
アメリカへの想い
米加墨開催のワールドカップ2026は、 7 月 19 日の決勝で幕を下ろした。決勝トーナメントはどれも見ごたえあったが、何よりも、日本の予選第一戦、オランダとの好ゲームを、何度も応援に行っていたダラスカウボーイズの本拠地 AT&Tスタジアムで観戦できたのが、何かめぐり合わせのようでもあり、一番心に残っている。これまで海外で暮らしたことがあるのはアメリカ合衆国だけで、最初のダラスから3 度にわたって計 14 年、うちニューヨークの2 年を除く12 年はテキサスで過ごした。以来の付き合いの友人がテキサス、隣のルイジアナに何人かいる。そういった友人たちに助けられてビジネスをやってきたこともあり、アメリカが自身の経歴の大きな部分を占め、キャリアに大きく影響を与えていると思う。昨年 1 月からの第 2 次トランプ政権は、関税を中心として、国際関係を大幅に見直す自国主義政策を矢継ぎ早に打ち出し、日替定食のような周囲を惑わせる発信とともに、今年に入ってからのベネズエラ軍事作戦、キューバ政策、さらには5カ月以上に及び、先の見えないイラン情勢といとまなく複線的に混乱が広がっている。 2017 年の第 1 次政権の時も、「劇場」とまで呼ばれるくらい、サプライズの連続だったが、今回の第 2 次では、直接的な影響を受けない限りは、他人事のように捉えてしまうくらいにさまざまな出来事が早回しに起きている。加えて、トランプ大統領のファミリービジネスとの所作混同に問題があるのは事実だが、アメリカという国が悪いわけではない。なので、大統領によらず、アメリカを嫌いになれない。日本でも、昨年、政権が代わって、国家安全保障を軸とした、経済成長にも資する政策が幾つも打ち出されている。特に重要鉱物を含む、経済安全保障に資するサプライチェーンの強靭化は、特定国以外のアメリカなど同盟国との協力はますます不可欠である。今年はアメリカ建国 250 周年であり、独立記念日だけでなく、各種行事が日本で
も各地で催され、幾つかに参加させてもらった。そのたびに、アメリカそのものとこれまでの日米関係の強さを感じ、さらなる協力、互恵の関係がこれからも続くことを強く望んでいる。
▲▲次回リレートーク
西恵一郎富士通執行役員常務 CSO 26 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

会員セミナー イラン紛争と中東勢力図(27ページ目)
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会員セミナー イラン紛争と中東勢力図

S ・ E ・ M ・ I ・ N ・ A ・ R 第 1375 回(2026 年度第 2 回)7 月 24 日
会員セミナー
イラン紛争と中東勢力図の変貌が及ぼす影響
2026 年 2 月末に始まったイラン紛争は日々情勢が変わり、その行く末はいまだに混沌としている。この紛争は今後はどう推移していくのか。中東問題の専門家で、各種メディアにもたびたび登場する田中浩一郎氏が語った。
講師:田中浩一郎氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
再登場したトランプ大統領が不安定な中東で「力による平和」を展開中東においてパワーポリティクスを担ってきたのが、イラン、イスラエル、そして中東に16カ所の軍事基地を持つ米国の3カ国だ。 2000 年代初頭から核兵器開発疑惑を突きつけられ、イランに対する見方は厳しいものになった。イスラエルについては、経済的あるいは経済安全保障上のパートナーとしての位置付けは増しているが、域内における振る舞いには厳しい批判が向けられており、欧米諸国の中東政策を方向付けるなど影響を及ぼしている。核兵器の保有を公式には認めていないものの、事実上の核保有国とみなされている。米国は、 03 年のイラク戦争以降、軍事介入に際して国際法上の手続きを行うことなく、一方的な介入に終始している。また、イスラエル例外主義を他国に強要するような圧力をかける場合があり、中東における不安定要因ともなっている。再登場したトランプ大統領の「力による平和」の舞台となっているのが中東だ。昨年 6 月の段階で、イスラエルはイランに対して先制軍事攻撃を仕掛け、米国も途中から参戦する形になった。トランプ大統領が2 期目の大統領選挙で公約として掲げた「新しい戦争は始めない」「終わりのない戦争には首を突っ込まない」とは異なる動きを早くも見せている。またレバノンの武装勢力であるヒズ
ブッラーに対する圧力も行使している。時折レバノン政府とイスラエル政府の間の停戦合意を調停するが、具体的にイスラエルの行動を止めるには至らない。むしろ米国はイスラエルを通じて、自らが構想する中東の地図を書き換えようとしているように見える。あえて選択した戦争をする米国ホルムズ海峡危機は当然の帰結米国のイラン攻撃は、あえて選択した戦争であると位置付けられる。昨年 6 月の「 12 日間戦争」では、イラン国内の核関連施設が攻撃対象となったが、テヘランの南にあるフォルドゥの地下ウラン濃縮設備は米国の力を借りなければ破壊できないことから、イスラエルが米国を巻き込むことは必然だった。 26 年 2 月 28 日からの第 2 次イラン紛争では、イスラエルは攻撃を正当化するため弾道ミサイルの脅威を訴えていたが、真の目的はイランの体制転換にあった。米国にとってイランが本当に脅威なのか疑問が呈される中、トランプ大統領はイスラエルからの脅威報告を鵜呑みにして紛争に向かってしまった。一方で、ホルムズ海峡危機は起こるべくして起こったと言わざるを得ない。イラン側の視点に立てばホルムズ海峡は、イランとオマーンの領海の中にある。それを1982 年の国連海洋法条約(UNCLOS)によって、一方的に
国際海峡と名付けられた。イランは批准していないし、認めていない。ペルシャ湾の沿岸 6カ国はいずれも米軍に基地を提供していることから、イランから見れば中立国ではなく、準交戦国あるいは交戦国という位置付けになる。これら6カ国の港を通ろうとする船舶に関しては、無害通航権を制限できるというのがイランの考えだ。交戦が激化し、長期化すれば悪い方向に流れるかこの先も交戦が激化すれば、イランに対する米国の空爆が止むことはないだろう。体制転換を狙うなら地上部隊を入れることを余儀なくされる。イランにある高濃縮ウランを掘り出して奪うのであれば、これも地上部隊なしにはできない。ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態を力ずくで開放するのであれ
とうしょ
ば、にらみを利かせている島嶼部を攻
略しなければいけない。これに対してイランは、ホルムズ海峡の機雷敷設に大々的に乗り出す危険性がある。また、バンカーステーションとして機能するフジャイラ港を破壊する可能性もある。そうなれば米軍艦船への補給ができなくなる。バブ・エル・マンデブ海峡の危機も再燃する危険性もある。事態が長期化すれば、悪い方向に流れることが避けられないだろう。
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新入会員紹介(28ページ目)
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新入会員紹介

新入会員紹介会員総数 1,815 名(2026 年 7 月 28 日時点)
越智健一郎中野淳子飯山高広
所属:日本航空役職:常務執行役員
所属:日本航空役職:執行役員
所属:日本航空役職:執行役員
成田大輔向井純太郎矢野裕子
所属:デロイトトーマツベンチャーサポート役職:全社パートナ―
所属:FUNDINNO 役職:執行役員 CMO
所属:国際協力銀行役職:常勤監査役
内山智子伊藤晃之中川洋一
所属:花王役職:上席執行役員
所属:国際協力機構役職:上級審議役
所属:阪和興業役職:代表取締役社長
佐藤倫大稲原薫五十嵐苑子
所属:ベイシス役職:取締役
所属:グーグル役職:シニアディレクター
所属:グロービス役職:マネジング・ディレクター
山口充穂藤城夏子平野佳代子
所属:清水建設役職:取締役常務執行役員
所属:NTT ドコモ役職:代表取締役副社長
所属:オンワード樫山役職:執行役員
佐川美佳永﨑安基石橋孝宜
所属:新菱冷熱工業役職:執行役員
所属:近畿日本ツーリスト役職:代表取締役社長
所属:タイミー役職:執行役員
新村和大渥美奈津子蕪木優典
所属:No.1 役職:社外取締役
所属:ユーザベース役職:執行役員
所属: I-GLOCAL 役職:代表取締役会長
小嶌不二夫宮本駿三浦崇宏
所属:ピリカ役職:代表取締役
所属:BiT&Company 役職:代表取締役
所属:GO 役職:代表取締役 CEO
布川友也渡邉拓服部美奈子
所属:ログラス役職:代表取締役
所属:BitStar 役職:代表取締役社長執行役員 CEO
所属: FGS グローバル役職:共同代表 28 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

各種委員会報告と活動(29ページ目)
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各種委員会報告と活動

◆復帰
高橋直司
所属:やる気スイッチグループホールディングス役職:代表取締役社長
退会
伊東裕鵜飼裕司松尾憲治立石文雄
所属:ANA 総合研究所
所属:FFRIセキュリティ
所属:明治安田生命保険
所属:オムロン
役職:顧問
役職:代表取締役社長
役職:名誉顧問
役職:名誉顧問
瀧原賢二成瀬正治遠藤弘暢吉田メグ
所属:日清製粉グループ本社
所属:ホテルオークラ東京
所属:ホイッスル
所属:フォトクリエイト
役職:取締役社長
役職:相談役
役職:COO 取締役
役職:顧問
安江令子田中弦寺本明男澤田千尋
所属:JSR
所属:Unipos
所属:三建設備工業
所属:コムチュア
役職:上席執行役員
役職:代表取締役会長
役職:名誉会長
役職:代表取締役社長執行役員
川原秀仁保積弘康林信光宮内正喜
所属:ALFA PMC
所属:キャップジェミニ
所属:国際協力銀行
所属:フジテレビジョン
役職:取締役社長
役職:執行役員社長
役職:元・取締役総裁
役職:顧問
古川弘成中村壮秀沼田俊介永山治
所属:阪和興業
所属:アライドアーキテクツ
所属:IGPIグループ
所属:中外製薬
役職:特別顧問
役職:取締役ファウンダー
役職:共同経営者
役職:名誉会長
塚本隆史尾崎弘之ゴンザレスロドリゴ近藤康之
所属:みずほフィナンシャルグループ所属:デリカフーズホールディングス所属:ザ・エコノミスト・グループ・
所属:不二熱学工業
役職:特別顧問
役職:取締役
アジア・パシフィック・リミテッド役職:代表取締役社長
役職:執行役員
小林
暢子
高等教育機関との連携 PT が報告書を公表
2025 年度高等教育機関との連携 PT は6 月 30 日、報告書『学習と実践の好循環に向けた企業と高等教育機関の新たな連携の探求』を公表した。社会課題が複雑化・高度化し、個人に求められる能力・資質も変化する中、産業界と教育機関がそれぞれ担ってきた従来
の日本の人材育成は、大きな転換期を迎えている。本 PTでは、高専、大学、大学院の学生・教職員を対象に、 2 年間にわたる実践活動を通じて、高等教育機関との新たな連携のあり方について模索した。キャリア教育や学び直しに関する
五つの活動を展開し、教育現場や学生・教職員との対話を通じて得られた示唆を取りまとめた。詳しくはコチラ
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各委員会からの報告(30ページ目)
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各委員会からの報告

社会の DEI 推進委員会が報告書を公表
2025 年度社会のDEI 推進委員会は 7 月 31 日、報告書『共助成長社会の実現に向けた、経営者によるDEIの実践』を公表した。企業を取り巻く経営環境は人口減少、地政学リスク、技術革新などにより不確実性が高まっており、企業が持続的に成長するためには多様な人材の力を引き出し、変化に対応できるレジリエンスの高い組織づく
りが不可欠である。本委員会ではDEIを人的資本経営の基盤であり、生産性やイノベーション、環境変化への対応力を高める重要な経営アプローチとして検討してきた。 25 年度はインクルージョン/アライシップを軸に、政策担当者・有識者からのヒアリングに加え、視察やパネルディスカッションを実施した。今後も共助成
長社会の一翼を担うDEIについて検討を深めるとともに、企業における定着と実践の深化につなげていく。詳しくはコチラ
経済同友会インターンシップ推進協会定時会員総会・会員懇談会を開催
経済同友会の提言実践活動として、インターンシップ事業を行っている経済同友会インターンシップ推進協会(横尾敬介代表理事)は6月 29 日、定時会員総会を開催し、 26 法人(71 人)が参加した。総会では2025 年度の活動報告と理事の選任を行った。総会後の懇談会では、本年新たに同協会会長に就任した山口明夫代表幹事が挨拶し、「インターンシップは学生に就業体験の機会を提供するだけでなく、企業にとっても新たな気付きを得られる貴重な機会だ」と語った。特にAIや ITの活用など仕事のあり方が大きく変化する中、「学生の率直で柔軟な意
見に耳を傾けることが企業自身の仕事の進め方やビジネスを見つめ直すきっかけになる」と強調した。学生と企業が互いに学び合うインターンシップの意義をあらためて共有する場となった。
また、懇談会ではインターンシップを実施する企業と学生を派遣する大学などの担当者が交流し、会員相互のネットワーク形成や情報交換を図る貴重な場となった。
インターンシップ受け入れ企業を募集中!(経済同友会会員所属企業限定)詳しくはコチラ
総会で挨拶する横尾代表理事
山口代表幹事が同協会の活動を評価
No.891
8 -9
August,September 2026
経済同友
特集1
2026 年度(第 41 回)経済同友会夏季セミナー共助成長社会の実現に向けた選択肢
~対立軸を直視し、本質的な解決の道を議論する~ 03
特集2
共助資本主義第 6 回マルチセクター・ダイアローグ共助成長社会で取り組むこれから【前編】 20 CLOSE-UP 提言
人材活性化委員会【提言】峰岸真澄委員長経済成長と多様な個人の活躍を支える「雇用型自律労働契約」の導入を~労働法制の令和モデルへの見直し~【改訂版】 24
C O N T E N T S
Seminar
第 1375 回会員セミナーイラン紛争と中東勢力図の変貌が及ぼす影響田中浩一郎氏慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 27
Column 私の一文字
松江英夫
「『青雲の志』という言葉に宿る『志』」 02 リレートーク植村幸祐「アメリカへの想い」 26 私の思い出写真館堀江章子「外資系で働く私と日本文化のつどい」 31
新入会員紹介 28 高等教育機関との連携 PT が報告書を公表 29 社会の DEI 推進委員会が報告書を公表 30 経済同友会インターンシップ推進協会定時会員総会・会員懇談会を開催 30 30 2026 / 8 ・ 9 keizai doyu

私の 外資系で働く私と日本文化のつどい(31ページ目)
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私の 外資系で働く私と日本文化のつどい

私の
外資系で働く私と日本文化のつどい
堀江章子アクセンチュア常務執行役員
一枚の写真があります。バルテュス夫人のマダム節子さんを囲んだ集合写真です。当時アクセンチュアのボードメンバーだった出井さんを囲み、女性リーダーたちが毎回テーマを決めて集まる会の一コマです。泉鏡花にちなんだこの回では、悩んだ末に着物で参加しました。ビーナスなど毎回ユニークなテーマが課されましたが、泉鏡花の幻想的な世界にちなむものとして着物以外思いつかず、この時ばかりは自分の教養のなさを恨みつつも、お茶をやっていて良かったと思ったものです。もう一枚は、会社の茶道部での一コマです。茶道を始めたのは社会人になってから。慌ただしい日々の中で「一期一会」という言葉の重さを感じたくて、お稽古に通い始めました。会社でも茶道部を新設し、裏千家、表千家、藪ノ内流などさまざまな流派の社員が集まるユニークな部活となりまし
た。流派や茶歴を超えてネットワーキングをメインに、お稽古は自主練という方針で、社中より緩やかな雰囲気です。釜の前に座れば会議室とは全く違う対話が生まれます。グローバルな仕事では個々の出来栄えをことさら褒め合うルールはありませんが、お点前の後のように感じたことを分かりやすく伝えることを心掛けてきました。 24 時間動く仕事の中で意識が仕事に支配されがちだからこそ、着物を着ることもお茶を点てることも(お稽古は十分ではないけれど)、意識を切り替え、心を整えるための大切な時間です。仕事と文化活動は対極にあるものではありません。いずれも人と向き合い、会話を楽しみ、心を整える営みだと思っています。あの日の皆さんの笑顔と茶室に漂う静寂が、今もそのことを静かに教えてくれる大切な思い出の写真です。
マダム節子氏、出井伸之氏を囲んで茶道部に社長も参加されました
初釡の風景
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編集後記(32ページ目)
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編集後記

経済同友
経済同友 2026 年 8 月・ 9 月合併号 No.891 令和8年 9 月 30 日発行編集発行人/齋藤弘憲発行所/公益社団法人経済同友会〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-4-6 日本工業倶楽部別館5F URL/https://www.doyukai.or.jp 編集/経済同友会事務局制作/CCアーク

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